インボイス制度に抗議 署名10万人超える

2022年11月09日 06:49

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政府が来年10月から実施予定の「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」。零細業者やフリーランスにとって死活問題だと制度廃止を求める署名が11月8日午前で、10万を超えた

 政府が来年10月から実施予定の「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」。零細業者やフリーランスにとって死活問題だと制度廃止を求める署名が11月8日午前で、10万を超えた。インボイス制度を考えるフリーランスの会がネット署名を集めている。

 SNS上では「取引先より『適格請求書発行事業者への申請を見送られる場合には、個別に単価値下げの相談をさせて頂く可能性がございます』とのメールがありました。零細事業者から税金を取るための制度」との投稿。

 発注事業者からは「小規模の建設業ですが、通常下請け業者に発注する際、消費税も下請け業者の利益と推測した上で、発注金額を決定し発注をします。インボイス制度が導入され、下請け業者が免税事業者の継続を選択した場合(個人でやっているほとんどの下請け業者が免税事業者を選択すると思いますが)、発注者側が消費税額を負担するか、消費税を控除した発注に改訂せざるを得なくなります」と投稿するなど、免税事業者と課税事業者との間で、早くも弊害発生を示す投稿が目立っている。

 また「年間売上1000万円以下の零細事業者(免税事業者)は、事実上事業継続不能になると言っていい。企業のみならず、街の個人商店、個人経営の飲食店、駆け出しの漫画家、アニメーター、声優を始めアーティスト系の個人事業主にも、甚大な影響が及ぶ」

 「ひとり法人にとって事務作業の負担が大幅に増える。フリーランスの大切な取引先を失う可能性もある」と事業継続が難しくなることをうかがわせている。

 インボイス制度が実施されれば「消費税課税事業者」が作成した請求書であることを証明する「登録番号」「適用税率と消費税額」「税率8%であれば、それが軽減税率対象品目であること」を逐一、請求書に明記する必要がある。

 取引先が「免税事業者」であれば「適格請求書」を発行できないため、課税事業者は「仕入れ税額控除」の適用を受けられない。このため課税事業者は免税事業者を使わないか、課税事業者になることを求めるか、消費税分を値引きするよう求めるかのいずれかが生じることになるとみられる。売上1000万円以下の免税事業者が課税事業者になった場合、1事業者あたり年税15万円程度が新たな税負担になると言われる。

 税収のトップが消費税。インボイスでさらに対象を拡張するなら、「所得税最高税率」「金融所得課税税率」「法人税税率」の引き上げを同時に実施すべき。大企業優遇、高額所得者優遇税制を同時に見直さなければ「税の公平性」を欠くことになる。(編集担当:森高龍二)