防衛費「恒久的財源」から法人税は対象除外か

2022年11月11日 06:48

en0108_05

国債で賄う場合には防衛費に歯止めが利かなくなるリスクがあり、こちらも理解を得るのは難しいといえよう。

 岸田文雄総理は9日の「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」で防衛体制強化に必要な財源確保に向け「来年度予算編成・税制改正において所要の結論を得られるよう、与党と連携して、引き続き検討を深めるように」と指示した。財源を巡っては「恒久的な財源確保」を探っている。

 恒久的財源を探る中で、有識者会議での「論点整理」では「法人税は成長と分配の好循環の実現に向け、多くの企業が国内投資や賃上げに取組んでいる中、こうした企業の努力に水を差すことのないよう、議論を深めていくべき」などと法人税に手を付けないようけん制するような記述がある。企業の内部留保が増え続ける中、法人税を財源対称から外すことには国民の理解は得られないといえよう。

 岸田総理は「防衛力強化にあたって、経済財政の持続性に対する高い信用や産業競争力とあわせて、国力全体を強化していくことが重要だ」と述べた。

 岸田総理は「現在、政府・与党においては三文書を始めとして、5年以内の防衛力の抜本的強化、裏付けとなる防衛費の相当な増額の確保に向け、具体策を精力的に議論している。必要となる防衛力の内容の検討、そのための予算規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていく」と防衛力増強に必要な持続性を確保できる財源確保に意欲を見せた。

 財務省提出資料では(1)国民全体で広く負担(2)幅広い税目で国民負担が必要(3)国民各層の負担能力への配慮(4)現下の経済情勢への配慮が必要とし、(5)これらの視点で来年度予算編成、税制改正で結論を得るとしている。

能力に応じた負担では「金融所得課税」の見直し、「所得税」最高税率の見直し、安倍内閣で大幅に下げられてきた法人税の大企業に対する税制見直しであれば国民から支持や理解が得られそうだが、インボイス導入でも酷評される消費税について、引き上げを考えれば理解は得られそうにない。一方、国債で賄う場合には防衛費に歯止めが利かなくなるリスクがあり、こちらも理解を得るのは難しいといえよう。(編集担当:森高龍二)