【コラム】忖度しない徹底した報道とスクランブル化検討を

2022年12月11日 10:50

画・NHKがネット課金見送り まずは「公共放送」としての理解を得よ

稲葉氏は「NHKは受信料で成り立っている。受信料をお支払い頂いている国民の皆様から信頼していただくことが大事」とも述べられた

 NHKの次期会長に元日銀理事の稲葉延雄氏(72)の就任が決まった。来年1月25日就任する。稲葉氏には『時の政権に忖度せず、中立・公正、不偏不党の政治報道を』行うことが「公共放送」の存在意義であり、健全な民主主義発展に資する目的と役割に則することを心に刻み、3年間、職務に専念いただけるよう願う。

 長期にわたった安倍政権以降、NHKの政権忖度報道、放送倫理規定抵触事案など、元NHK職員らからも問題視する声が目立った。稲葉氏が今月6日の記者会見で「日銀は自主性・独立性が求められている。同じようにNHKは不偏不党、中立公正が求められている」として「日銀と同様の性格を持っている。NHKの使命に親近感を覚える」とされたことに、少し期待を持つことができた。

 稲葉氏は「NHKは受信料で成り立っている。受信料をお支払い頂いている国民の皆様から信頼していただくことが大事」とも述べられた。

 信頼を得るためには「公共放送として『質の高い報道』『ドキュメンタリー』『エンターテインメント』を制作・発信していくこと。そのための環境づくりを行う」との姿勢も示された。

 ただ、NHKが公共放送として健全な民主主義の発展に資する役割を果たすとすれば「報道部門」「ドキュメンタリー部門」の二本柱で、エンターテインメントは歴史的に見ても、今の時代、民放各社に任せて済む話なのではないか。

 ネット上に限らず、街頭でもNHKの話題で上がるのが「受信料」と「スクランブルを図るべき」との声だ。NHKは今月6日、契約の申込み期限や割増金など受信規約の変更案を議決し、認可を総務大臣に申請した。

 スクランブルを求める意見に対しては「受信料はNHKの事業を維持、運営するための特殊な負担金。スクランブル化し、受信料を支払わない方に放送番組を視聴できないようにする方法は、放送法でNHKが求められている『公共の役割』と相容れないものと考える」としているが、NHK事業の維持の目的が「公共放送」としての機能を果たすためで、スクランブルと相容れないとは言い切れない。

 NHKの公共放送としての役割が「健全な民主主義の発展に資する役割」であるとすれば、「報道部門」「ドキュメンタリー部門」に傾注し、エンターテインメント部門などを排しても、なんら問題ないだろう。人材を「報道部門」「ドキュメンタリー部門」にシフトし、バラエティー番組などを外していけば、制作経費も抑制できよう。

 そのうえで、受信料を「日常のニュース」「報道番組」「国会中継」「災害など緊急時の報道」「日曜討論」など、健全な民主主義の発展に資する公共放送としての基本番組を「基本料金」として位置づけ、現行より低価格化し、そのほかの「ドキュメンタリー番組」「朝ドラ・大河ドラマ」「バラエティー」など、基本料金に上乗せする形で、5段階程度に料金を設定して行ったうえで、受信機を備えた家庭と契約を結び、スクランブル放送を実施していけば「公共の役割」に沿ったうえで、かつ、スクランブル希望視聴者・国民の声にも応えることになるだろう。

 稲葉次期会長には是非、国民の期待に沿う報道とともに、スクランブル化もタブー視せずに、どうあるべきかを真摯に検討していただきたい。稲葉体制でNHKが時の政権の問題、課題にどう向き合った報道をしていくのか、国政政党の記者会見を番組編成枠に創設するなど、より積極的に報道する姿勢を工夫し、忖度していると言われない報道姿勢を示されることを強く期待したい。(編集担当:森高龍二)