世界的な物価高騰が止まらない。IMFの10月時点での2022年の消費者物価上昇率の推計値は、米国が8.1%、英国9.1%など世界各国の物価上昇率は極めて高い水準となっている。日本の年平均推計値は2.0%と相対的に低くなっているものの、総務省の10月分の発表では3.7%と物価高騰が収まる気配はない。米国の消費者物価がピークを打ったというニュースも流れているが、11月データでは未だ前年同月比7.1%上昇と高い水準を維持しており、来年も世界的な物価高騰が続くのは間違いない。こうした状況の中で賃金上昇が見込めない日本の消費者は節約志向を強めているようだ。ソニー生命の調査によると、値上げラッシュによって「家計が打撃を受けている」と回答した者は全都道府県で多数派を占めており、「節約志向が高まった」との回答も全都道府県で5割を超えている。
12月15日、ソニー生命が「47都道府県別 生活意識調査2022」の結果レポートを公表している(調査期間:10月下旬、対象:20~59歳の男女、各県100名、合計4700名)。この中で都道府県別に22年の家計状況について調査しているが、その結果を見ると、「値上げラッシュによる家計への打撃が大きい」と回答した者の割合が最も多いのは「島根県」の73.0%、最も少ない「熊本県」でも54%と47都道府県すべてで5割を超えている。「打撃が小さい」と答えた者の割合が最も多いのは「北海道」の22.0%だが、その「北海道」で「打撃が大きい」と答えた者は58%と約6割に達している。
「節約志向が昨年と比べて高まった」との回答では、1位が「福岡県」の66.0%、最も少ない47位の「岩手県」でも52.0%とやはり47都道府県すべてで5割を超えている。逆に「低くなった」との回答では「岩手県」の10.0%が最多で、最下位の「宮崎県」ではわずか1.0%と、全国的に値上げラッシュで家計が打撃を受け節約志向を強めているようだ。
昨年と比べて「買いたいものを我慢する頻度が増えた」との回答では、1位が「熊本県」の54.0%で47位は「大阪府」の35.0%となっており、5割を超えているのは上位6県のみとなっている。また、「価格を比較する頻度が増えた」のは、1位が「栃木県」の72.0%で、47位の「山形県」47%を除き46都道府県で5割を超えている。節約志向を強める中で、より低価格のものを志向し、消費総額を抑えようとしている全国的な傾向が読み取れる。(編集担当:久保田雄城)