難民認定申請中の外国人を本国へ送還することを可能にすることや弁護士らに監視の役目を負わせる監理措置制度を導入することなどを盛り込んだ入管難民法改正案が9日の衆院本会議で自民、公明、維新、国民などの賛成多数で可決し、審議が参議院に移っているが、改正案では申請が3回目以降の場合、難民認定すべき相当の理由を示さなければ本国への送還が可能になるため、難民認定を申請する人の人権保護の観点から改善すべきとの声が強まっている。
立憲と共産、れいわなどは参院に対案として9日、難民等保護法案と入管法改正案を提出、(1)難民認定の審査の透明性を確保するため、独立した第三者機関を新設し、審査を担うこと(2)入管施設への収容の可否は入管庁が行うのではなく、裁判所が行う(3)収容期間の上限を設けるなどをあげている。
立憲の泉健太代表は党の常任幹事会で「国際水準からも大幅に遅れている現在の入管行政を抜本的に変えるものでなければ賛成はできない」と現行の改正案に賛成できないとしたうえで「われわれの対案を国民の皆さんに訴えていきたい」と強調した。
政府の法案に対しては国連人権理事会の特別報告者から「国際人権基準に満たない」と勧告を受けている。国際基準に沿うレベルの改正案に修正する必要があり、参院での慎重な審議が求められている。(編集担当:森高龍二)