岸田文雄総理は27日、総理官邸で認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議を開き「高額医薬品について国民皆保険の持続性とイノベーション推進両立の観点から、薬価制度の改革を含めた対応を、厚生労働大臣を中心に検討してもらいたい」と武見敬三厚労大臣に指示した。
また「治療薬開発を推進する必要がある」とし「国際競争が激化する中、我が国のリードを広げるべく、認知症、脳神経疾患、研究開発イニシアティブについて健康・医療戦略担当大臣において具体的な検討を進めていただきたい」と高市早苗担当大臣に指示した。
岸田総理はこの日の会合で「身寄りのない方を含め、認知症になったとしても安心できるためには身元保証等の課題を解決していかなければならない」と述べ「厚生労働大臣に実態把握、課題の整理を進めるよう。また官房長官を中心に課題解決に向けた省庁横断の体制を構築させていただきたい」と武見大臣と松野博一官房長官に指示。
また認知症治療薬として「レカネマブ」が薬事承認されたことについて「認知症の治療は新たな時代を迎えたが、治療対象患者が限られているなど課題もある。まず新薬へのアクセスや投与後のモニタリング等が適切に確保されるように必要な検査体制、医療提供体制の整備について厚生労働大臣に検討を進めてもらいたい」と述べた。
日本は2040年に100歳以上の人が30万人を超えると推定されている。高齢者人口の増と共に認知症を患う人も増えることは避けられない。三菱UFJ信託銀行が厚労省の資料を基に同社独自に作成した資料によると、65歳以上の認知症発症率は推計15%、2012年では厚労省研究班調査で約462万人が発症。2025年には730万人に増加、65歳以上の5人に1人が発症、2050年には1000万人を超え、4人に1人が発症との推計があり、治療薬の開発はじめ認知症患者が安心して暮らせる社会づくりが急がれている。(編集担当:森高龍二)