労働市場は競争激化へ。岸田文雄総理は27日開いた新しい資本主義実現会議で「三位一体の労働市場改革、スタートアップ育成による企業の新陳代謝など新しい資本主義の実行計画を3年間の変革期間で早期に実行する」と明言した。
三位一体の労働市場改革は労働者個々の能力向上を支援するメリットがある一方で、経団連が強く求めてきた「職務給導入」「労働移動の円滑化」など『年功序列がベースの日本型の雇用維持』から『労働移動促進』へと労働者間の競争激化へ、労働者にとって一層競争市場に置かれる環境になることを理解しておく必要がある。岸田総理はこうしたことには一切触れない。
この日の会議でも岸田総理は(1)賃上げ税制の減税措置の強化(2)中小・小規模企業の賃金引上げのため、省人化・省力化投資への支援を実施する。カタログから選ぶように、使いやすい措置とする。地方においても賃上げが広がるよう、工場等の新設を支援する。経営者保証を不要とする信用保証制度を年度内に創設する。
(3)取引適正化に向けて、地元の最低賃金の上昇率や春闘の妥結額を基礎に価格交渉を行うなど、労務費転嫁の分かりやすい指針を年内に公表する(4)非正規労働者と正規労働者の同一労働・同一賃金制について対応が不十分な企業に対し指導を行う。在職中の非正規労働者に対するリ・スキリング支援を開始する(5)資産運用立国については金融担当大臣を中心に年内に政策プランを策定してもらうと持続的な賃上げ環境づくりへの支援を強調した。(編集担当:森高龍二)