健全な民主主義の発展に資すとNHKが経営計画

2024年01月11日 07:09

 NHKは10日までに24年度~26年度の経営計画を発表した。「今、NHKに求められていること」の筆頭に「究極の使命」として「健全な民主主義の発展に資すること」と記した。受信料で成り立つ公共放送としてのNHK存在の1丁目1番地を記した。安倍政権下で忖度報道と批判が相次いでいた時期から国民目線での当然の公共放送としての在り方に着地した感がある。

 経営計画では「世界ではロシアによるウクライナ侵攻を巡って政府から独立して公平公正な報道等を行い『健全な民主主義の発展に資する』という公共放送の役割が再認識されています」とし「NHKも情報空間の健全性を確保することで、平和で豊かに暮らせる社会を実現し、民主主義の発展に寄与することが求められています」と2点を基軸に公共放送としての役割を果たしていく、としている。

 一つは「インターネット上で不確かな情報があふれる中、視聴者・国民のみなさまにとっての『よりどころ』となる、正確で信頼できる社会の基本的な情報を提供したい」。

 二つは「信頼できる多元性確保に貢献する。民主主義の基盤である多角的な視点を確保するために情報空間において、伝統メディアが競い合い、それぞれの信頼性を高めることに寄与したい」とした。地域サービスでは「価値の源泉である取材・制作の基盤的資源への投資」を明記した。

 総合テレビでは編集方針に「公共メディアの基幹波」として「正確かつ公平・公正な社会の指針となるニュースや文化・娯楽・スポーツなど多彩な番組を編成」し「公共的価値を高めていく」としている。

 経営改革ではメディアを整理削減するとし、BS1、BSP、BS4Kを24年度からBSとBSP4Kの2波に。26年度からラジオのR1、R2、FMを新AMと新FMの2波にするなどをあげている。

 収支計画では事業収入=24年度6021億円(うち受信料5810億円)、25年度5934億円(うち受信料5730億円)、26年度5945億円(うち受信料5655億円)  

事業支出=24年度6591億円、25年度6334億円、26年度6195億円。

収支差金は24年度570億円の赤字、25年度400億円の赤字、26年度250億円の赤字。赤字は「還元原資による補填」で賄う。計画では23年10月に値下げした受信料額を堅持し、事業支出を段階的に削減しながら27年度の収支均衡を目指すとしている。(編集担当:森高龍二)