政労使3者による意見交換が13日、総理官邸で開かれた。岸田文雄総理は最低賃金について「最低賃金の引上げ額を公労使三者構成の最低賃金審議会でしっかと議論いただきたい。労働生産性の引上げ努力等を通じ、2030年代半ばまでに1500円となることを目指すとした目標をより早く達成ができるよう、中小企業・小規模企業の自動化・省力化投資や事業承継、М&Aの環境整備等について官民連携して努力していく」と述べた。
また中小・小規模企業の賃上げに関して「中小企業関係団体などの皆さんからは賃上げ予定企業は昨年より増えているが、大企業における高い賃上げの動きが中小企業・小規模企業に広がっていくためには労務費の価格転嫁が鍵となるとの発言があった。中小・小規模企業における十分な賃上げによって裾野の広い賃上げが実現していくことが大切だ」とし「賃上げの流れを継続できるよう、あらゆる手を尽くしていきたい」と語った。
その一環として岸田総理は「下請法違反行為については勧告を含め厳正に対処する」とし「公取委員長から報告があったが、労務費指針の周知・徹底状況の把握に向けたフォローアップのための特別調査を実施するとともに、取組みが不十分な事業者について独占禁止法に基づき事業者名を今月中に公表することをお願いする」と賃上げ環境を後押しする考えを強調した。
税制で政府は賃上げ税制の対象となりうる企業が中小企業全体の8割をカバーするよう、赤字法人の賃上げを後押しするため、中小企業(資本金1億円以下の法人、従業員数1000人以下の個人事業主等)向けに5年間の繰越控除制度(賃上げ実施年度に税額控除しきれなかった金額を最長5年間まで繰越しできる制度)を創設し、国会成立後、今年4月に施行する」としている。
また中堅企業(従業員数2000人以下の企業)について、新たに大企業とは別の枠組みを創設し、大企業より緩やかな要件を設定し、3%賃上げで10%税額控除、4%賃上げで25%税額控除するなどで賃上げを後押しする。
また非正規雇用労働者の正規化を促すため、助成額を1人の正規化につき中小企業では現行の57万円を80万円に、大企業は43万円を60万円に拡充する。(編集担当:森高龍二)