「戦争の放棄」を規定する憲法9条の下、殺傷能力が高い日英伊共同開発の「次期戦闘機」完成品を第3国に輸出することに自民党と公明党が15日合意した。
「平和国家」として防衛装備品という名の戦闘機輸出の在り方を国会審議もなく、政府与党で決めていく野党無視の在り方は衆参で圧倒的議席を有する「自民党の驕り」姿勢を浮き彫りにした。自民党は衆院議席の56%、参院議席の46.9%を占め、与党では衆院の62.9%、参院で57.8%を占めている。
自公合意内容では「輸出は次期戦闘機に限る」「国連憲章に沿った目的以外の使用を禁じる防衛装備品・技術移転協定締約国に限定する」「現に戦闘が行われている国は除外する」条件の下、個別案件毎に国家安全保障会議で決定し、閣議決定で決めていく。
立憲民主党の長妻昭政調会長は15日「与党だけで決めるのは拙速」と批難した。同党の玄葉光一郎外交・安全保障戦略PT会長も共同開発・生産に理解を示したうえで日本が第3国に輸出することについては「国のあり方の根幹に関わるため、野党も含めた十分な国会審議が必要だ。防衛装備品の移転については平和主義に基づいた『国際紛争を助長しない』という基本理念に鑑みて、特に殺傷能力のある完成品の第3国移転については慎重であるべき」とコメントを発表した。立憲として政府に説明を求めていくとしている。
日本共産党の小池晃書記局長は「戦闘機の輸出は国際紛争を助長するもの」と厳しく指摘。「憲法違反」と断罪した。日本維新の会、国民民主党は輸出を是としている。
法政大学大学院の白鳥浩教授(現代政治分析)はX(旧ツイッター)で「国の根本にかかわる政策について閣議決定だけで行うというのはどうだろうか。政権を決定した衆議院議員総選挙が行われたのはコロナ禍にあった2021年10月。国家の基本政策について岸田政権は早期の衆院解散総選挙によって信を問う必要があるといえる。国民に声を上げる機会を与えるべきだ」と提起している。
今回の戦闘機第3国への輸出問題、裏金問題をはじめとした自民党政治とカネの問題、企業団体献金の是非など早期に国民の意見を反映する総選挙が必要といえよう。(編集担当:森高龍二)