能登半島地震から3カ月。2月29日現在、石川県が把握している情報では、住宅被害は7万5千棟余りにおよび、避難所で避難を続けている人は未だ1万1449人にのぼる。体育館や集会所などの1次避難所では、地震発生直後の2割程度にまで避難者の数は減ったものの、それに伴う避難所の縮小と再編が課題となっている。今も避難所に残っている人は、帰りたくても帰れない人が多い。
1次避難所はあくまで簡易な設備であるため、県は避難者の健康悪化などを懸念し、被災地外の旅館やホテルなどの2次避難所への移動を呼び掛けている。ところがその一方で、県は2次避難者の滞在期限を2月末から3月末までとしていることから、滞在期限が刻一刻と迫っていることも問題となっている。一部の旅館などでは、4月以降も被災者を受け入れることを表明しているところもあるものの、ほとんどの施設では、国などから出ている支給額だけでは受け入れを継続するのは難しいのが現状だ。知人や親戚を頼って県外などへ避難する人も増えている。しかし、そんな身内もおらず、身を寄せる先もなく、途方に暮れている人も多い。
そんな中、避難している人たちにとって頼りになるのが、全国から集まった義援金だ。地震発生直後は金銭よりもまず、水や食料、洋服や毛布、衛生用品などが必要だったが、今必要なのは、生活を立て直すための資金だろう。日本赤十字社には、2024年2月21日の集計時点で23,313,650,753円の義援金が寄せられている。集計を終えた義援金は、被災県の義援金配分委員会へ全額送金され、同委員会で定める配分基準に従って市区町村等の自治体に配分され、被害状況などに合わせて避難者に分配される。230億円といえば大金だが、住宅被害7万5千棟、地震発生当初は4万人を超える人々が避難生活を送っていたことを考えると、決して充分とは言えない。
厚生労働省も2月27日、被災した石川県内の6つの市町の住宅再建を支援するため、最大300万円の新たな交付金制度を発表している。 既存の被災者生活再建支援法に基づく最大300万円の給付を含めると、合計で最大600万円が支給されることになる。また、日本政府は3月1日に行われた閣議で、2023年度予算の予備費から新たに1167億円の追加支出を決定している。能登半島地震への予備費は合計で2700億円超となった。内、928億円が道路や上下水道、港湾の復旧作業などの公共施設の復旧に充てられる。
売り上げの一部を義援金として寄付することを明言している企業や団体も増えている。
例えば、住宅総合メーカーのAQ Group(旧アキュラホーム)は、1月に石川県輪島市へ匠の技 伝統工芸の輪島塗の地元支援も含め300万円の義援金と、ブルーシートやポリタンク、使い捨てカイロ等の物資提供をしているが、被災地では未だに不安が続いている現状を鑑みて、住宅契約1件につき、1万円(リフォーム事業部は、契約金額100万円以上の契約を対象)を義援金として拠出することを発表している。
また、福島大学では2月から、保存食や救急用品などが入った「ぼうさい支援袋」を1個300円で販売しているが、その内200円を能登半島地震への義援金として寄付している。
香川県高松市牟礼町にある「道の駅源平の里むれ」では、地元の酒造会社・西野金陵が作った地酒に「頑張れ能登」と書かれたラベルを貼り、「能登を応援しま酒(しゅ)」として2月23日から240本限定で販売しており、その売り上げの20%を義援金として寄付する。さらに道の駅では、支援のための物産展なども開催する予定だという。
こういった活動は、集まる金額ももちろん大事だが、アクションを起こすことで次々と支援の輪が広がっていくことも重要なのではないだろうか。今必要なのは、この支援の輪を途切れさせないことだ。消費者にとっても、その店や企業などの商品を選び、購入するだけで被災地の支援につながるのは嬉しい。ぜひ活用してほしい。(編集担当:藤原伊織)