「菅前総理や岸田総理の番記者も歴任し、10年以上前から取材しています」と自己紹介する朝日新聞記者のX(旧ツイッター)への投稿が「個人のつぶやき」であったとしても、政治部記者であることから、批判の声を含め波紋を呼んでいる。
いきさつは連合の芳野友子会長が先の都知事選で蓮舫候補への票が予想外に伸びなかった要因に「共産党が前面に出すぎていたということで票が逃げた」などと立憲幹部との意見交換で述べたことを受け、蓮舫氏がXで「現職を支持した貴女が評論ですか。私は今回公契約を活用した労働条件改善を強く提案。若者の雇用環境改善も提案しました。本来、労働者を守る連合が要求する内容でもあります。組合離れはこういうトップの姿勢にもあるかもしれませんね」と投稿した。
これに朝日新聞記者が「ザ蓮舫さん、という感じですね。支持してもしなくても評論するのは自由でしょう、しかも共産べったりなんて事実じゃん。確かに連合の組合組織率は下がっているけど、それは蓮舫さん支持しなかったかではないでしょう。自分を支持しない、批判したから衰退しているって、自分中心主義か本当に恐ろしい」などとつぶやいた。
これには蓮舫氏はもちろん、SNS上に批判が相次いだ。これを受けてか朝日新聞記者は「これまでの私の投稿に不適切な表現がありました。ご指摘を受け止めて猛省するとともに、関係する皆様に深くお詫び致します」とあて先不明の陳謝を投稿。
投稿では、どの部分が「不適切な表現」と自覚しているのか、誰の指摘を受けての猛省なのか明示されず、謝罪が誰に向けて行われたのかも、明確でない。
Xへの投稿が「個人のつぶやき」であったとしても、記者と明示し投稿している以上、どこをどう受け止めて猛省したのか、X読者に分かるよう説明するのが書き手・投稿者の責任といえよう。
蓮舫氏は「終わらせません。弁護士と相談しているところです。まず、朝日新聞への抗議ならびに質問状を出したいと考えています」とXに投稿。そもそも芳野氏は極端に共産党を嫌い、東京都連が現職の小池氏を支援し、芳野氏自身も小池氏を「全体的に連合東京の政策に理解いただき、評価できる。関係性もいいのではないか」と小池氏支持の姿勢を鮮明にしていた。その芳野氏が「共産党が前面に出すぎていたということで票が逃げた」と発言すれば、蓮舫氏が「現職を支持した貴女が評論ですか」と批判するのは当然の話。朝日新聞記者が「(蓮舫氏が)自分中心主義か本当に恐ろしい」とする指摘は、この経緯を踏まえれば疑問符が付くはず。朝日新聞が報道機関としてどのような説明をし、この記者に対処するのか、注視したい。(編集担当:森高龍二)