今週の振り返り しばらく忘れていたが、やっぱりヨーロッパは怖い

2013年03月02日 18:09

0205_026

「黒田総裁」内定で急上昇した後はイタリアショックで大幅下落という落とし穴が待っていた。

 27日朝方の為替レートはドル円は92円近辺、ユーロ円は120円台前半。NYダウは115ドル高。FRBのバーナンキ議長が連邦議会上院で量的緩和政策の継続を強調し、小売業の好決算、住宅指標の良さも寄与した。イタリアでは長期金利が急上昇し、26日の短期国債入札は何とかしのいだが、27日も中・長期国債65億ユーロ分の入札が予定されていた。

 日経平均は19.75円高の11418.56円で始まり、しばらく前日終値近辺で推移したが、午前10時過ぎにムーディーズが「イタリアの信用格付けはネガティブ」とコメントしてユーロ安が進行。日経平均も同調して一時11279円まで下げた。その後は11300円をはさみ浮き沈みする時間帯が続く。後場途中には11350円を超える場面もあったが長続きせず、最後は円高進行で下げ幅を拡大して安値引け。日経平均終値は144.84円安の11253.97円と続落した。売買高は31億株、売買代金は2兆円割れ。イタリアショックは尾を引く。

 この日は紙・パルプ、空運、建設、倉庫、非鉄金属、食品などの業種が買われ、保険、鉱業、銀行、輸送用機器、その他金融、証券などの業種が売られていた。

 28日朝方の為替レートはドル円が92円台前半、ユーロ円が121円台前半で少し円安。NYダウは175ドル高で14075ドルで、史上最高値まであと85ドル。心配されたイタリア中・長期国債の入札は金利は上昇したが順調に消化された。

 NY市場の大幅高、円高一服、25日移動平均線付近からの自律反発、月末恒例のドレッシング買い、野村アセットマネジメントの2本の日本株投信設定に伴う新規設定買い、MSCIインデックスの銘柄入れ替え、ピークを迎えつつある決算対策売り、イタリアの政局、アメリカの「財政の崖・第2ラウンド(強制歳出削減)」、など、買い、売り、様子見の要素が複雑にからみあう28日の日経平均は142.76円高の11396.73円で始まった。すぐに11400円台を回復し、徐々に上げ幅を拡大。後場には11500円台にも乗せた。投信の新規設定で日経平均先物は少しずつ買われていた模様で、終値は305.39円高の11559.36円まで上がった。売買高は32億株だったが売買代金は2兆円超え。+21.94の975.66だったTOPIXの上昇率は日経平均より0.41ポイント小さく、日経平均は投信の新規設定に伴う大口買いで徐々に切り上がる日経平均先物に引っ張られていた。

 月の取引最終日にその月の終値最高値をマークする記録は3ヵ月で途切れたが、月末が月初より高いローソク足の白(陽線)はこれで7ヵ月連続記録更新。2月は4~12月期決算ラッシュ、中国軍のロックオン騒動、北朝鮮の核実験、G20、日米首脳会談、日銀総裁人事、イタリア総選挙と波乱続きだったが、300円を超える大幅高で締めくくった。

 値上がり銘柄数が全体の85.3%に及ぶ全面高なので全業種プラス。値上がり率が大きかったのは倉庫、不動産、自動車、ゴム、電機などで、小さかったのは空運、その他金融、水産・農林、食品、繊維などだった。

 3月1日朝方の為替レートはドル円が92円台半ば、ユーロ円が121円近辺で前日とあまり変わらない水準だった。NYダウは強制歳出削減問題の進展がなく20ドル安だったが、14000ドル台は維持した。

 取引開始前に国内の経済指標が一斉に出て、法人企業統計の設備投資額は-8.7%だったがこれは10~12月期でほとんどの期間は安倍内閣成立前。1月の消費者物価指数(CPI)は全国が-0.2%とまだまだデフレ状態で目標の2%は遠い。しかし1月の雇用統計の完全失業率は0.1ポイント低下して4.2%、有効求人倍率は0.85倍で3ヵ月連続で改善し、リーマンショック前の2008年8月の水準まで戻った。サプライズだったのは総務省の家計調査で、1月の2人以上世帯の消費支出は12月の-0.7%から大幅に改善して+2.4%。市場予測の+0.4%を大きく上回り、政権交代で個人消費にスイッチが入ったとしたら小売・サービス業の業績回復につながる。

 月末日だった前日に需給面で特別な要素がいろいろあった影響で日経平均は94.65円安の11464.71円で始まったが、徐々に下げ幅を圧縮。TOPIXは一足先にプラスに転じたがNTねじれ現象が長時間続いた。それでも日経平均は前引けまでにプラスになり、後場はプラス幅をひろげながら11600円台に乗せ、11648円まで進んだが午後2時台は「利益確定売りの金曜日」に押し戻され、終値47.02円高の11606.38円で振れ幅が大きかった今週の取引を終えた。中・小型株も好調でTOPIXは+8.67の984.33と大きく伸びている。売買高は29億株、売買代金は1兆8284億円だった。

 上昇業種の上位は不動産、倉庫、証券、パルプ・紙、陸運など。下落したのは石油・石炭、ゴム製品、鉱業、輸送用機器、ガラス・土石、非鉄金属の6業種だった。