【日経平均】イタリアショックなお続き144円安で続落

2013年02月27日 19:44

 NYダウは115ドル高。FRBのバーナンキ議長が連邦議会上院で量的緩和政策の継続を強調し、小売業の好決算、住宅指標の良さも寄与した。バーナンキ証言が金利低下、ドル安をもたらし、27日朝方の為替レートはドル円は92円近辺、ユーロ円は120円台前半。イタリアでは長期金利が急上昇し、26日の短期国債入札は何とかしのいだが、27日も中・長期国債65億ユーロ分の入札が予定されている。もし入札不調でECBが大量の買い支え発動を行ってドラギ総裁が何か言えば、またユーロ安要因になりそうだ。

 日経平均は19.75円高の11418.56円で始まり、しばらく前日終値近辺で推移したが、午前10時過ぎにムーディーズが「イタリアの信用格付けはネガティブ」とコメントしてユーロ安が進行。日経平均も同調して一時11279円まで下げた。その後は11300円をはさみ浮き沈みする時間帯が続く。後場途中で11350円を超える場面もあったが長続きせず、最後は円高進行で下げ幅を拡大して安値引け。日経平均終値は144.84円安の11253.97円と続落した。売買高は31億株、売買代金は2兆円割れ。イタリアショックは尾を引き、今夜のヨーロッパ発のニュースに戦々恐々だ。

 この日は紙・パルプ、空運、建設、倉庫、非鉄金属、食品などの業種が買われ、保険、鉱業、銀行、輸送用機器、その他金融、証券などの業種が売られていた。

 1月の新車販売が発表され、トヨタ<7203>は国内も海外も「一人勝ち」状態だったが110円の大幅安。ホンダ<7267>は85円安。日産<7201>は1月の中国生産実績が前年比32.4%増と発表したが、2月はマイナスの可能性ありという報道も出て結局14円安。富士重工<7270>は「インプレッサ」が好調な国内販売が16ヵ月連続前年超えでも45円安。売買が連日活発なマツダ<7261>は中国生産がプラスに転じ7円安だった。

 ファナック<6954>は320円の3ケタ安で安値引け。コマツ<6301>も38円安だったが、クボタ<6326>は今ホットな農業関連でもあり23円高で昨年来高値更新。電機はパナソニック<6752>もシャープ<6753>も東芝<6502>も日立<6501>も軒並み下落する中、ソニー<6758>だけは2円高だった。

 上限1000万株の自社株買いを発表したフジクラ<5803>は、値上がり率9位の25円高で昨年来高値を更新。住友商事<8053>とKDDI<9433>によるTOB価格引き上げが報じられたJCOM<4817>は、さらに買いを集めて昨年来高値を更新した。JT<2914>は、この日午前8時45分の立会外取引での8680万株の自己株式買付が好感されて22円高になった。

 前日、参議院では否決必至とみられていた補正予算案が1票差で可決・成立するという安倍首相も驚くサプライズが起き、緊急経済対策を含む13.1兆円の予算執行が早まったことで建設関連銘柄はにぎわった。大手ゼネコンの大成建設<1801>、大林組<1802>、清水建設<1803>、鹿島<1812>は全て株価上昇で、値上がり率ランキングには不動テトラ<1813>が11位、ハザマ<1719>が15位に顔を見せた。建設資材の太平洋セメント<5233>も買われている。

 一方、銀行株は悪く、みずほ<8411>は「バーゼル3」で義務づけられた狭義の中核的自己資本比率を2015年3月期で前倒しでクリアすると発表したが4円安。三井住友FG<8316>は110円安、三菱UFJ<8306>は14円安。野村HD<8604>も13円安だった。JPX<8697>はこの日、大引け直前まで株価は前日終値付近だったが最後の最後で一気に900円近く急騰して昨年来高値を更新し4日続伸、値上がり率3位、売買代金4位に入るという、わざとらしさ満点の値動きをした。MSCIインデックス採用を翌日に控えてTOPIXのリバランスも重なったら、こんなことも起きるのか。

 1月の小売売上高は前年同月比-1.1%。ファーストリテイリング<9983>は権利落ちで4ケタ安の前日から続落し380円安。その「ユニクロ」の陰でしっかり稼いだのがしまむら<8227>で、日経新聞に2月期決算はPB戦略が功を奏し4期連続最高益という観測記事が出ると60円高になった。

 前日に経済産業省と東証が選定して話題を提供した女性活用に積極的な「なでしこ銘柄」17種。消費財メーカーや小売業が多いが、住友ゴム<5110>、大同特殊鋼<5471>、住友金属鉱山<5713>のような生産財関連銘柄もある。その星取はこの日、全体の地合いが悪かったこともあり大同特殊鋼と積水ハウス<1928>だけが上昇して2勝15敗だった。

 この日の主役は「水産」関連銘柄。ランキングを連日にぎわせる「TPP関連銘柄」は前日あたりからなぜか水産関連にもひろがり、この日は林兼産業<2286>が10円高で値上がり率6位、売買高7位で、6円高の東都水産<8038>も一時26円高で値上がり率ランキング上位に入った。下関市が本社の林兼産業は前日大いに買われて株価を上げたマルハニチロ<1334>の前身、大洋漁業とルーツを同じくする兄弟会社で、水産加工、食肉加工、飼料販売などを手がける。東都水産は築地ベースの水産物商社で冷凍工場を有する。JF全漁連は同じ第一次産業のよしみなのかJA全中を応援してTPPに反対するが、水産物の関税率は最も高いイカやクラゲでも15%で平均では約4%。コメの778%と比べるとケタ違いに低く、TPP参加で関税が撤廃されても影響は軽微とみられる。前日の飼料といい、この日の水産といい、第一次産業関係なら何でも同一視される感もあり、「TPPバブル」のような気配も漂う。(編集担当:寺尾淳)