国民1人あたり250円負担換算で税金から申請のあった政党に交付される今年度の政党交付金(政党助成金)のうち、10月分の78億5435万円が自民党など8政党に交付された。今年度の交付決定額は314億1814万円で、4月と7月にすでに157億907万円が交付済みだった。10月分を含めると235億6342万円になる。なお最終分の交付配分は今月27日の総選挙での議員数変動確定後に、再算定する。
今回、交付申請し、交付を受けたのは自民党(交付額40億1332万円)立憲民主党(17億886万円)日本維新の会(8億4861万円)公明党(7億2721万円)国民民主党(2億7982万円)れいわ新選組(1億5733万円)社会民主党(7205万円)参政党(4730万円)。日本共産党は、政党交付金制度は思想信条の自由に反する制度と制度廃止を求めており、受給資格を有しているものの、交付申請していない。
そもそも、政党交付金はリクルート事件などがきっかけで、企業団体献金が特定企業や特定の業界・団体と時の政権との癒着を招く温床になっており、企業団体献金を廃止する代わりに政党を助成する制度として創設された。しかし、制度スタート後も、企業団体献金は継続しており、2重取り状態になっている。
今回、自民党派閥による組織的裏金づくり問題などで「政治とカネ」の問題が改めて表面化し、27日投開票に向けた総選挙でも「企業団体献金」を巡って、その取組みも大きな争点になっている。
自民党の石破茂総裁(総理)は9日の党首討論で、「企業団体献金はこれからも認められて良いものと思っている」などと企業団体献金を「是」とする考えを示した。「政治・政策が左右されないよう、透明性がきちんと担保されるよう努力していく」とするにとどまった。与党の公明党は企業団体献金に関して明示がない。
一方、立憲民主党、日本維新の会、日本共産党、れいわ新選組、社会民主党などは企業団体献金の禁止を公約で明確に掲げている。企業献金に関して日本共産党の田村智子委員長は今年の国会質問で衆院「政治改革に関する調査特別委員会」で元最高裁長官・岡原昌男氏が発言していた内容を紹介し、「会社の利益につながらない『献金』は『株主に対する背任』となり、見返りを要求するような『献金』は涜職(とくしょく)罪』となる恐れがあると岡原氏が指摘している」とした。
献金する企業側にも背任罪や涜職罪に触れる危険性があり、問題のない行為とはいえない。企業団体献金・パーティー券購入という形を変えた献金は政治浄化のために断つことが強く求められている。(編集担当:森高龍二)