新たな「ルノー日産」アライアンス、持株比率を相互に10%に引き下げ、日産のアンペア社への投資も解消

2025年04月02日 06:20

イヴァン・エスピノーサ(Ivan Espinosa)

メディアセッションで日産の短期方向性を語る新日産自動車CEO(代表執行役社長兼最高経営責任者)のイヴァン・エスピノーサ(Ivan Espinosa)氏

 仏ルノーと日産は、相互株式保有の柔軟性を高める目的で、アライアンス契約の改訂に合意したと発表した。双方のロックアップ義務を10%(現在は15%)とし、それぞれの株式保有率を10%まで引き下げる権利を有する。

 この改訂によって、ルノーがフランスの信託会社に信託している日産株式(発行済株式総数の18.66%)には影響を与えない。

 結果として現在のルノーの時価総額を基にすると日産は5%のルノー株売却で約6億9000万ユーロ(直近のレートで約1100億円)の資金が得られる勘定となる。

 また、日産は最大6億ユーロを出資するとしていたルノーのEV専業メーカー、アンペア社への投資を行なわないこととし、2023年7月26日にルノーグループ、日産、アンペアの間で締結された投資契約を解約する。この新アライアンス契約の改訂およびアンペアへの投資契約の解約は、一定の前提条件の充足を条件としており、2025年5月末までに完了する見込みだという。

 ただ、ルノーグループは、欧州初のEV専業メーカーであるアンペアを通じて、開発コストと開発期間を削減しながら、2026年より「トゥインゴ」をベースとしたAセグメントの日産EVモデルを開発・生産する。このEVモデルのデザインは日産が行なう。

 この合意により米国や中国の販売不振などで経営を圧迫している日産の資金的な自由度が増す。一方、ルノーとの資本的な関係はさらに薄れる。日産とルノーは2023年2月、ルノーによる日産への出資比率を43%から15%に引き下げることなどで合意し、資本関係の対等化を獲得。その後協業の柱だった共同購買を解消している。

 今回の日産によるルノー株の売却は両社の関係が薄まることにつながるが、すでに事業化されているプロジェクトを中止するということにはならず、実務への影響は少ないとするのが大方の見方だ。(編集担当:吉田恒)