日産、社長交代直前にインフィニティを含めた新商品・新技術投入計画発表

2025年03月30日 09:22

All-new Nissan LEAF

日産が発表した従来のHBボディからSUV風に一新するEV専用車3代目「日産リーフ」は、先進的なEVアーキテクチャーを採用。北米仕様車にはNACS充電ポートを搭載し、日産のEVとして初めて米テスラの充電システムへのアクセスを可能とする

 苦境に喘ぐ日産自動車が3月26日、「日産とインフィニティ両ブランドの新商品と新技術の投入計画」を発表した。内田誠 日産社長として最後の施策発表といえる内容か? 期待を込めて概観しよう。

 発表した今後の施策の目的は大きく3つ、まず「新型車とマイナーチェンジ車でセグメントのカバー範囲を拡大し、ラインアップの活性化」を図る。第二に「e-POWERを含む次世代技術で商品競争力を向上」を目指す。そして、「市場毎に顧客ニーズに沿った最適な市場戦略を導入」するとしている。

 概観すると消費財メーカーとして「至極当然な姿勢の吐露」に過ぎないように思えるが、以下でその内容に簡単に触れたい。

 ラインアップの活性化を標榜した第一の項目「今後の商品ラインアップにおいては、パワートレーンに対する消費者ニーズの多様化に応えるため、車種毎にハイブリッド技術(e-POWER、プラグインハイブリッド=PHEV含む)、次世代電気自動車(EV)、先進的なガソリンエンジンを設定)するとした。

 次期日産社長・現チーフプランニングオフィサーのイヴァン・エスピノーザ氏によると、「今後2年間で、新型『リーフ』や新型『マイクラEV』を含む魅力あふれる商品ラインアップを構築。さらに、SUVのラインアップを刷新し、運転体験を向上させる。また、次世代e-POWERは新次元の洗練された高効率な走りを実現する。最高の日産を体現する商品に投資し、世界中の熱いファンと日産を支えてくださるユーザーにワクワクする体験を届けすることを約束する」と述べた。

 注目すべきは第三世代となる日産自慢のピュアEV「リーフ」だろう。

 従前のコンパクトなHBボディからSUV風に一新する3代目「日産リーフ」は、 空力性能を大幅に向上させ、先進的なEVアーキテクチャーを採用。北米仕様車にはNACS充電ポートを搭載し、日産のEVとして初めて米テスラの充電システムへのアクセスを可能とする。同車は圧倒的な走行性能の向上を実現し、現行車比で大幅な航続距離の改善を見込んでおり、新型は2025年半ばに発表する予定だ。

 e-Powerも改良版が出るようだ。第3世代のe-POWERは、効率の大幅な改善により、現在の第2世代システム比で高速走行時 の燃費を最大15%向上させることを目指す。新しいe-POWER専用1.5リッターEngineを採用し、日産の最新のEVパワートレーンと主要部品を共有する。この第3世代e-POWERシステムは、 2025年度後半に欧州の「キャシュカイ」から搭載され、2026年度には北米の次世代「ローグ」および日本市場向けの大型ミニバン(恐らくエルグランド)に搭載される予定だ。「ローグ」についてはパワフルで高効率なガソリンモデルと、PHEVモデルを投入するとしている。

 各地域別の施策の詳細も発表されたが、気になったのは日本市場への対応が薄いこと。日本市場向けには2025年度に、新型「日産リーフ」や新型軽自動車を含め、多様な新型車とマイナーチェンジ車を投入。2026年度には、第3世代のe-POWERを搭載した新型大型ミニバンを投入する。詳細は今年後半に発表する予定、とだけ触れている。(編集担当:吉田恒)