賃貸住宅入居者の不満を解消する新しいタイプの物件とは

2011年09月20日 11:00

 賃貸住宅において、入居者が感じている不満とは。

 入居者は収納量や遮音性、防犯性能、風通し、日当たり、立地条件、家賃、設備、間取りと様々なものに対して少なからず不満を持っているもの。その不満点は、借り手市場となっている賃貸住宅では、場合によっては簡単に住み替えへと発展することになる。減少する若い世代の影響などもあり、最近飽和状態となっている物件数に、オーナー達も頭を抱える。

 そんな中、このような入居者の不満を解消し、満足度アップするため、大手住宅メーカーが提案する新しいタイプの賃貸住宅の物件が注目を集めている。

 住友林業が発売する「mamato」は子育てママの目線でランドリー、バルコニー、ファミリールームを動線で繋ぎ、使い勝手の良い設計をするなどの特長を打ち出している。また、三井ホームが、都市部の30歳前後の単身者や共働き夫婦に向け、6月に販売を開始した「プロパティ プライムコート・シティ」は太陽光発電システムを備える。

 そして、入居者が最も不満に感じている遮音性について、独自の特許技術で入居者の不満を解消しているのが積水ハウスだ。

 自動車や航空機などの交通系や店舗営業などの外部から入ってくる騒音から家庭用設備機器・テレビなどの音響機器・人の話し声などの生活騒音まで、様々な種類の騒音が存在し、健康的な生活を阻害することすらあるとされるが、特に集合住宅や2世帯住宅などにおいては、住まいの不満点で最も声が上がるのが、上下・左右からの騒音とされている(積水ハウス調べ)。その騒音の種類でも、上位は大人の足音や子どもが飛び跳ねたり走り回る音など生活騒音がその多くを占めており(同社調べ)、賃貸住宅の選択肢において遮音対策はますます重要になっている。

 この問題に対し、同社は賃貸住宅「シャーメゾン」にオリジナルの特許技術「シャイド55」(高遮音床システム)を開発、一般的な賃貸住宅(鉄骨造)のL―65という床衝撃音レベル値を約10db下げ、L―65の実現という大きな成果を上げた。具体的には、上階からの”ドスン”という重量衝撃音や”コツコツ”という軽量衝撃音の聞こえ方が約1/2になると言われている。同社はこの技術を昨年9月から賃貸住宅に採用しているが、初月の採用率約2割に対し、今年7月には7割を超えたという。また、この「シャイド55」は『第5回キッズデザイン賞』において、優秀賞を受賞しており、その技術力の高さが広く世間に評価されたことも大きい。

 借り手が快適と思える設備と環境を提供し、一昔前のものとは比べ物にならないほど進化した賃貸住宅は、今後ますます競争が激化していくだろう。オーナーはそんな借り手の声をいち早くキャッチし、物件に反映させることが長期的な安定経営に繋がるのだから、物件のメンテナンスだけではなく、住まい手のメンテナンスを向上させていくことが求められる。