中谷元防衛大臣は15日の記者会見で同日閣議了承した2025年版防衛白書で「中国による活発な軍事活動がわが国の安全に深刻な影響を及ぼし得る状況」などと記した点について「国防費を継続的に高い水準で増加をさせており、十分な透明性を欠いたまま、軍事力を広範かつ急速に増強させ、力による一方的な現状変更の試みを継続・強化し、軍事活動を拡大・活発化させている」とした。
中谷大臣はこうした認識の下「2024年8月には中国軍機による領空侵犯、9月には中国海軍空母による我が国領海に近接した海域において航行したことなどが相次いで発生したことを踏まえたもの」と説明した。
そのうえで「中国の軍事動向は我が国と国際社会の深刻な懸念材料、懸念事項であり、我が国としては防衛省として、いつ、いかなるときも、いかなる主体によるものであれ、力による一方的な現状変更の試みは決して許容しない我が国の意思と能力の現れとしまして、国家防衛戦略等に基づく防衛力の抜本的強化を切迫感をもって推進する。我が国周辺の軍事動向に対して強い関心をもって注視しながら、冷静かつ毅然として対応していく考だ」と述べた。
ただ、2007年以降、日本の貿易相手国のトップは「中国」であり、2020年データでは同盟国のアメリカが2位で貿易全体の14.7%であるのに対し、中国は23.9%を占める。
アジア圏との取引でみると貿易額は8割を占める。こういう状況で中国に向けミサイル装備拡充一途政策で緊張感を高め、軍備拡張路線を走っていいのか。米国アジア戦略での対露、対中、対北最前線基地に日本列島、沖縄、南西諸島が利用されるリスクを踏まえたバランス外交が求められよう。平和安全保障外交こそ最大の抑止力になることを忘れてはならない。(編集担当:森高龍二)