ワインの季節がやってくる。日本で栽培されているぶどうの収穫時期は、主に9月から10月で、全国各地のワイナリーでは例年、10月末頃から11月初旬にかけて新酒のワインが発売されることが多い。ワインの新酒としては、フランスの「ボジョレー・ヌーヴォー(Beaujolais Nouveau)」やイタリアの「ヴィーノ・ノヴェッロ(Vino Novello)」などが世界的にも有名だが、日本ワインの新酒も負けてはいない。熟成されたワインとは異なり、新酒はその年の気候をダイナミックに反映した、フレッシュで果実味豊かな味わいが特徴だ。今年はどんな新酒が楽しめるのだろうか。
すでに8月20日から原料ぶどうの収穫が始まっている、神戸市西区のこうべアグリパーク内の神戸ワイナリーの担当者によると、今年は全体的に雨も少なく天候にも恵まれ、今のところ昨年よりも良質なぶどうが育っており、収穫量は昨年を上回る見込みだという。これは期待が持てそうだ。
神戸ワイナリーの圃場で栽培されたぶどうは、神戸を代表するブランドの一つ「神戸ワイン」の原料として出荷される。神戸産ぶどう100%で作られる地産地消の日本ワイン「神戸ワイン」はこれまで、1983年から40年余りにわたって神戸農政公社が製造及び販売を行ってきたが、昨年、神戸市に本社がある大手酒造会社「白鶴酒造」が事業を引き継いだ。神戸ワインの原料ぶどうは神戸市西区・北区の生産者によって栽培されているほか、一部は神戸ワイナリーの圃場で神戸農政公社が引き続き栽培している。事業継承後初めての収穫となる今年は白鶴の社員も収穫に加わり、一房一房丁寧に手摘みしているという。白ぶどう品種のリースリングから始まり、黒ぶどう品種のカベルネ・ソーヴィニヨンなどを 9月中旬にかけて収穫する予定だ。
白鶴では、しっかりと「神戸ワイン」の醸造技術を継承し、創業280年以上にわたる同社の長い歴史の中で培った日本酒製造の知見や技術を活かすことができればと考えているという。また、神戸ワイン振興会や日本ワイナリー協会、葡萄酒技術研究会等の各種団体、他ワイナリーとの連帯も強化しており、これまで以上にレベルの高い「神戸ワイン」を目指している。
また、同社では順次、新商品投入・主要商品のリニューアルの実施を予定しており、2025年10月頃に発表されるようだ。9月6日にはこうべアグリパークで開催される「JAZZ FESTA(こうべアグリパーク主催)」に参加したり、11月1日、2日には同パークでのお酒まつりへ参画を予定しており、このお酒祭りで初めて白鶴酒造が醸造したワインの新酒が味わえる。
新酒の解禁は、ワイナリーやワイン愛好家、そしてそれを育む地元の人たちにとっても年に一度の特別な時期。日本を代表する、日本ワイン「神戸ワイン」の新しい門出をぜひ、一緒に楽しみたいものだ。(編集担当:藤原伊織)