美味しい秋がやってくる。秋の味覚を引き立てる日本酒「灘の生一本」とは?

2025年08月30日 09:06

7社

秋はお酒が美味しい季節でもある

 まだまだ暑い日が続いてはいるが、徐々に過ごしやすい日も増えてきた。スーパーの食料品売り場にも秋の食材が並び始め、秋の訪れを感じさせてくれる。猛暑で食欲が減退していたという人も、涼しくなるにつれて少しずつ食欲が回復してきた頃ではないだろうか。

 また、秋はお酒が美味しい季節でもある。暑い夏はキンキンに冷えたビールやスパークリング系の爽やかな飲み口のお酒を好む人が多いが、秋や冬は、食材に合わせてお酒を楽しみたいものだ。近頃は和食にワインを合わせるなど、お酒の楽しみ方も多様化しているが、秋の旬の野菜や魚を使った和食にはやはり日本酒がよく合う。

 特にこの時期におすすめしたいのが「灘の生一本(きいっぽん)」という日本酒だ。

 生一本とは、広辞苑では「純粋で混じりけのないことを意味する」としており、日本酒の場合、生一本と表示できるのは、清酒の製法品質表示基準で「単一の製造場のみで醸造した純米酒である場合」と定められている。中でも「灘の生一本」は、日本一の酒どころ「灘五郷」の単一の製造場のみで醸造した純米酒のことを指し、「灘の酒 用語集」によると、清酒のうちでももっとも優秀な酒を表す語として古くから用いられてきたという。また、かつては「灘酒」が「生一本」の代名詞とされ、江戸時代後期には江戸の酒需要の8割を占めるほどの人気を誇ったといわれている。灘酒の男性的な風味は、江戸の人々の気っ風の良さにも良く合ったのだろう。その人気は相当なもので、中には灘酒を他のお酒と混ぜたり、水で薄めて増量して販売したり、さらには他の産地のお酒を灘酒の樽に詰め替えて灘酒と偽って販売することもあったそうだ。「灘の生一本」の語源は諸説あるが、「灘で生まれた生粋の酒、混ぜ物をしていない本物の酒」を保証する意図もあったのかもしれない。

 2011 年には灘酒の品質向上を目的に灘酒研究会が行う需要振興プロジェクト「灘酒プロジェクト」が発足し、その一環として毎年秋に各社から「灘の生一本」ブランドが製造販売されている。今年は 7 銘柄(白鶴・沢の鶴・剣菱・櫻正宗・浜福鶴・白鹿・大関)が、兵庫県産米のみを使用して各社の技術で醸した純米酒「灘の生一本」をシリーズとして発売している。

 通常は各社独自で自社商品の酒質の表現を定めるのが一般的だが、「灘の生一本」は「灘酒研究会 酒質審査委員会」が酒質審査して認定された商品には適切な表現だけがラベルに表示されているのが特徴で、それを見れば各社の個性ある香りや味わいが一目でわかるようになっている。例えば、9月 5 日に発売された白鶴酒造の「白鶴 灘の生一本」は、「白鶴独自開発米である『白鶴錦』を 100%使用した芳醇な香りの純米酒で、押し味とキレの良さを併せ持ち、きれいですっきりした特長」があると、灘酒研究会により認定されている。

 一方、黒松白鹿の「灘の生一本」は、「兵庫県産米山田錦を100%使用したなめらかで旨味がある純米酒で、甘味と酸味が調和した、きれいな味わいのお酒である」ことが認定されている。また、沢の鶴の「灘の生一本」は、「生酛造りによって醸された純米原酒。後口のキレが良く、原酒ならではの旨みとふくらみがある豊かな味わいで、飲みごたえのあるお酒である」ことが認定されているなど、同じ「灘の生一本」でも蔵元によって特長はさまざまだ。酒質表現を見ながら飲み比べてみたり、好みの味わいで酒蔵を探すのも楽しい。

 「灘の生一本」は各酒造会社の店舗やネットショップなどでも手に入るが、神戸市北野にある元小学校校舎を改装した施設「神戸北野NOSTA(ノスタ)」内の、灘の酒のアンテナショップ「灘五郷 SAKE VILLAGE」に行けば、各酒蔵の「灘の生一本」を手に入れることができる。神戸観光の際にはぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。

 日本の秋の味覚と、日本酒と。時代は変わっても、美味しいものは変わらない。美味しい食と酒で、猛暑で疲れた心と身体を癒し、日本の秋を存分に堪能してほしい。(編集担当:藤原伊織)