安くなったら導入が3割…太陽光発電

2012年12月11日 11:59

アキュラホーム

太陽光発電システムの普及期はいつなのか(写真:アキュラホーム提供)

 東京電力エリアでは、既に9月1日から平均8.46%の値上げが実施され、関西電力、九州電力が値上げ申請を行うなど、相次ぐ値上げの声が後を絶たない電気料金。エネルギー問題に敏感な国民は当然、創エネへの関心の高さを見せてはいるものの、導入には「価格が高い」というハードルがあるのも事実だ。

 創エネのシステムで最も導入率が高いのは「太陽光発電」。「家庭用燃料電池」や電力を貯めておく「家庭用蓄電池」は、まだまだ導入するにはコストが高い。その太陽光発電でも決して驚くほどの導入率ではない。

 11月に公表された東京都の「都民生活に関する世論調査」によると、太陽光発電設備を設置(所有)している人は、わずか2.6%という結果だった。また、今後、設置を考える理由に関しては、「商品価格、設置費用が安くなる」と答えた人が30%近くで、導入費用が高いと感じている人は、まだまだ存在している。

 だが、実際の設置件数は増加傾向にあり、前述の東京都の導入率はあくまでも計算上ではあるが、世帯数に換算すると全体では16万世帯以上が設置していることになる。それを裏付けるように、JPEA(太陽光発電協会)は今年5月に、同年4月までで国内の住宅用太陽光発電システムの累計設置件数が100万件を突破したと発表した。また、11月に同協会が発表した今年7月~9月の住宅用太陽電池の出荷量は、前年同月比で139.9%と着実に伸びている。

 住宅メーカー各社も戸建住宅への太陽光発電システムの標準装備化商品の投入や、リフォーム事業の柱として同システムを位置付けるなど、売上を伸ばすには欠かせないアイテムとなってきている。大手の中間連結決算でも、前年の復興需要や政府の政策などによる増益からの反動減という結果だったメーカーもあったが、リフォーム事業に関しては軒並み増収で、ミサワホームの超軽量太陽電池モジュールを採用したシステムや、積水化学工業のリフォーム事業「ファミエス」が、同システムに力を注ぐなど、その貢献度は高い。

 また、大手と比較して安価で戸建住宅を購入できる中堅ハウスメーカーも太陽光発電システムは契約の起爆剤として考えているところも少なくない。アキュラホームはスマートハウス「ひふみ」に同システムを標準搭載した期間限定販売などの戦略で、採用率も上がっているとしている。

 一般的な4.0kwのシステムを設置した場合、国や自治体からの補助金を使用したとしてもおおよそ150万円前後はかかってしまうとされている太陽光発電システム。「安くなれば導入を考える」という普及期のカギを握る層が購入できる金額には、まだまだ遠いはずだ。性能アップの報道は多く見受けられるが、大幅に価格が下がるとは言われていない。原料のシリコンの価格に左右されており、なかなか現実的な価格にはなっていない現状をどれだけ早期に実現できるかが、普及のカギを握る。