トヨタ<7203>がフランスのグルノーブルにて、都市内の近距離移動に適した超小型EVカーシェリングの実証実験を来年末から開始すると発表。グルノーブル市、グルノーブル都市圏共同体、シテ・リブ社、フランス電力公社との共同実験で、2014年末から3年間、グルノーブル市の「エコシテ」開発の一環として実施される。
本共同実験は、公共交通を補完し、個人向けの新たな移動手段を提供するもの。トヨタは、最終目的地と公共交通の最寄駅との間の数キロ程度、いわゆるラストマイルの移動ニーズに対応する都市内近距離移動に適した超小型EV(約70台)を提供。ワンウェイ利用(乗り捨て)が可能なカーシェアリングは、トヨタが開発した情報管理システムを基にパートナーと連携し管理・運営する。約70台のEVについては、日本で販売している「COMS」と、ジュネーブ国際モーターショーで公開するコンセプトカー「TOYOTA i―ROAD」をベースに開発する超小型EVの予定。この2種類のEVは、都市内の近距離移動に適しており、快適な移動だけでなく、容易な駐車や駐車スペースの削減にも寄与するとのこと。またトヨタが提供する情報管理システム「ワンマイルモビリティ運用管理システム」は、スマートフォンを通じて簡単に車両を予約できるとともに、車両の位置や空車状況を確認することが可能。さらに、車両の利用状況を踏まえて各ステーションへの配車計画を最適化し、再配車を指示することもできるという。
トヨタにとって、このプロジェクトは、公共交通と連携した超小型EVによるカーシェアリングの有用性と事業性を検証する実証実験の一つとなる。この実証実験を通じて、ラストマイルの移動手段に関するユーザーのニーズをより的確に把握することを目指すとのこと。
欧州では、2020年に年間82万7000台のEVやハイブリッド車が販売され、2012年は0.7%に過ぎない市場シェアが、2020年にはその5倍以上の4%にまで拡大すると予測されている。その主な要因は、欧州でのガソリンや軽油の価格が上昇していることだという。なかなか普及しないEVであるが、環境意識の高い欧州での実証実験が広がることで、普及への弾みとなるか、今後の動向が注目されるところであろう。(編集担当:井畑学)