世界的に普及が期待されているEV。しかしガソリン車と比べて1回の走行距離が劣るため、思うような普及を遂げられていないのが現状である。そのため日本のみならず、世界各国で充電インフラの整備が急がれている。特に広大な国土を有する米国では、充電インフラの整備が欠かせない。こうした状況を受けて米国政府や自動車業界は充電器の普及に力を入れており、北米における急速充電器市場は、2015年には現在の10倍に拡大すると予想されている。
この市場拡大を見越して富士電機 が、米国で電気自動車(EV)向け急速充電器の販売を開始すると発表した。2010年から日本国内で急速充電器を展開している同社は、米国市場における拡販に向け、米国安全規格であるUL認証に適合した急速充電器を開発し、今回の販売に至ったとのこと。
米国自動車技術会はすでに急速充電規格としてCombined Charging System(コンボ)を採用すると発表している。しかし今回米国で発売する製品は、CHAdeMO(チャデモ)規格の急速充電器である。当面、実用面で大きく先行しているチャデモとの並存が続くとしているが、これからコンボの普及を進めようとする時にチャデモの急速充電器に対するニーズは本当にあるのであろうか。特に米国は、EVの利用普及よりも製造増に重点を置いていると言われる。さらに、燃料電池自動車の普及に向けた動きも活発化しており、EVと燃料電池自動車とが共存するのかという点にも疑問が残る。今回の富士電気の動向が吉と出るのか凶と出るのか、注目して見て行きたい。(編集担当:井畑学)