2012年に相次いで投入され、市場が本格化したスマートハウス。それとともに、従来の「スマート=ICT」の概念が、「スマート=節電・新エネ」へと広がり、現在、住宅業界では自然エネルギーの活用を重視する建築手法「パッシブデザイン」に基づくスマートな家をトレンドに、個人の住空間の快適性や生活の豊かさを訴求する動きが顕著となっているという。こうした中、富士経済がスマートハウスの国内市場、世界市場を調査し、結果を発表した。
それによると、大手ハウスメーカーにおける提案が本格化したことで1万1500戸が販売された2012年の国内スマートハウス関連市場は、2011年比25.3%増の1兆8409億円が見込まれるという。うち、省エネ領域が市場の46.7%を占めており、創エネ領域とともに市場を牽引している。2013年は国による補助・優遇制度の後押しに加え、消費税増税前の駆け込み需要により新築住宅は90万戸を超える見通しであるほか、2014年以降はハウスメーカー主導によるエコタウンプロジェクトが本格始動するなど、新築住宅におけるスマートハウス化は拡大すると予測されることから、更なる市場の伸長も期待される。結果、国内市場は2016年頃まで年率10%増で推移し、2020年の市場規模は2011年比2.5倍の3兆6362億円にまでのぼると予測されており、新築住宅需要の約17%に当たる7万戸がスマートハウスとなると見られている。
また領域別では、EV/PHVを含む蓄エネ領域が2011年比6.9倍の1兆1212億円、スマートメーター系が牽引する通信・計測他も同4.8倍と大幅な成長が予測されている。一方、省エネ領域の伸長は同21.9%増と伸びが鈍化するという。
注目すべきは、スマートハウスの核となるHEMSの市場であろう。同調査によると、2012年の国内市場は、2011年比500%の30億円。これが2020年には2011年比1983.3%の119億円にまで拡大すると見られている。一方、海外の2012年HEMS市場は、2011年比102.0%の252億円、2020年予測も2011年比122.7%の303億円と見られており、その拡大幅はあまり大きくならないと予測されている。
現在の政府が目指している電力小売りの全面自由化が実現すれば、料金メニューの多様化が加速し、電力料金を地域の電力需給状況に応じて変更するダイナミックプライシングなどのDRがスマートハウスのメリットや社会的意義を更に高めるとみられている。さらに、スマート家電やホームICT型生活支援サービスなど、周辺領域における新たな市場の立ち上がりや本格化も期待できる。ようやく本格化したこの市場が、どこまで成長を遂げられるか、期待の高まるところである。(編集担当:井畑学)