富士通、20%の電力を削減できるネットワークの自動設計技術を開発

2011年08月12日 11:00

 富士通と富士通研究所は10日、イーサネットネットワークの設計時に必要とされる通信速度やネットワーク構成などの要件を満たした上で、ネットワーク全体の消費電力を従来と比べて約2割削減できる自動設計技術の開発を発表した。ネットワーク機器の構成や回線の接続の仕方を考慮し、膨大な設計パラメーターを線形計画問題として解くことで、ピーク時のトラフィックに対応しながらネットワークの消費電力量や機器設置コストを最小に設計することが可能。これによって、新規のネットワーク構築から既存のネットワーク増設などのあらゆる場面において、顧客の要望に最も適した、省電力なネットワークや機器コストを低減させたネットワークを提案することができる。

 開発の背景には、年々増加しているインターネットトラフィックと、それに伴うネットワーク構成機器の消費電力の増加がある。従来のネットワーク設計は、ピーク時のトラフィック量に十分に対応することを最優先に設計されており、高速な回線の増強や高性能なネットワーク機器配置を人手で設計することによって実現してきた。しかし、拠点間の通信速度など、数多くの設計条件を考慮しなければならず、人手でのネットワーク設計では全ての把握が難しく、余剰な消費電力の発生が大きな問題となっていた。

 そんな中、両社はデータセンターなどの大規模なイーサネット網を対象に、ネットワーク構成、拠点間の通信速度、使用する機器などの関係を表した膨大な設計パラメーターを線形計画問題として数式化し、それらを解くことで、ネットワークの消費電力量や機器設置コストを最小化するネットワーク設計技術を開発。人手では設計することが不可能な多くの設計条件を考慮しつつ、ネットワーク条件を打ち込むだけで最適なネットワーク機器の選択などの自動設計が可能になる。消費電力削減を目的とした設計の試行によれば、最大で約2割の削減が可能となった。