今回のニュースのポイント
参天製薬の2026年3月期決算は、売上収益が前期比2.8%減の291,624百万円となった一方、親会社の所有者に帰属する当期利益は3.1%増の37,369百万円となりました。国内では薬価改定や後発医薬品の参入、長期収載品の選定療養制度といった逆風を受けましたが、アジア・欧州(EMEA)地域での成長が下支えしました。特に次世代の成長分野として小児近視進行抑制薬「リジュセア」の展開を加速させており、「眼科特化型グローバル企業」としての地歩を固めています。
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2026年3月期の連結業績は、売上収益291,624百万円(前期比2.8%減)、営業利益47,797百万円(同2.0%増)の減収増益となりました。薬価改定や長期収載品の新制度導入が逆風となるなか、新製品や主力製品の拡大に注力した結果、減少幅を最小限にとどめています。
地域別で見ると、日本市場の売上収益は146,812百万円(同11.2%減)と苦戦を強いられました。これは1%台後半の薬価改定に加え、主力品の市場拡大再算定や後発医薬品の参入、さらに2024年10月から導入された長期収載品の「選定療養制度」が強く影響したためです。
この国内の落ち込みを補ったのが海外事業です。アジア(中国除く)は、韓国や東南アジアで緑内障・ドライアイ製品が堅調に推移し 、売上収益33,252百万円(同14.0%増)を記録しました。欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域も、緑内障・ドライアイ領域でのリーダーシップ確立により80,097百万円(同7.8%増)と伸長し、地域別の最大市場としての存在感を高めています。中国市場においても、流通在庫調整の影響を受けながらも30,011百万円(同0.5%増)とプラスを確保しました。
参天製薬が現在、次世代の成長の柱として注力しているのが近視領域です。小児における近視進行を抑制する「リジュセア点眼液(一般名:アトロピン硫酸塩)」は、2025年4月に日本で発売されました。同製品の当期売上高は16億円(日本11億円、EMEA5億円)ですが、次期は60億円(日本40億円、EMEA20億円)と、一気に約3.7倍への拡大を計画しています。デジタル社会の進展に伴う近視人口の急増を背景に、日・欧・中・アジアの各地域で承認申請や治験を戦略的に進めています。
一方で、開発リスクの出現を示す一例もありました。当期は、フックス角膜内皮ジストロフィおよびマイボーム腺機能不全を対象としていた開発品(シロリムス)について、治験データ解析の結果から開発中止を決定しました。これに伴い、製品に係る無形資産の収益が見込めなくなったため、3,841百万円の減損損失を計上しています。
2027年3月期の通期予想では 、売上収益311,000百万円(前期比6.6%増)、営業利益49,500百万円(同3.6%増)と増収増益を見込んでいます。中国での新工場建設への投資を継続しつつ、累進配当方針に基づき、年間配当は前期比4円増の42円を予定するなど 、株主還元も強化する方針です。
国内市場の制度変更による収益圧迫と、海外市場での需要拡大という対照的な環境の中で、参天製薬は今、その専門性を武器に海外市場を主戦場とした新たな成長フェーズへと踏み出しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













