ソフトバンクG決算、AI投資利益拡大 OpenAIと半導体へ資金集中

2026年05月13日 21:41

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ソフトバンクグループの2026年3月期決算。純利益5兆円でOpenAI投資に係る評価益が押し上げ

今回のニュースのポイント

ソフトバンクグループの2026年3月期決算は、純利益が前期の約4.3倍となる5兆22億円を記録しました。ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)事業を通じて保有するOpenAI投資に係る評価益が劇的に上昇し、投資損益全体を7.2兆円へと押し上げました。また、Arm(アーム)を中核にAmpere(アンペア)やGraphcore(グラフコア)を統合した「AIコンピューティング事業」を新設。OpenAIへの累計投資額は将来的に646億ドル規模に達する見通しで、計算資源と半導体、データセンターといったAIの物理基盤への資本集中を加速させています。

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 2026年3月期の連結業績は、売上高7兆7,986億5,000万円(前期比7.7%増)、税引前利益6兆1,349億500万円(同259.9%増)、親会社の所有者に帰属する純利益5兆22億7,100万円(同333.7%増)となりました。

 爆発的な利益成長の源泉は、生成AI分野を主導するOpenAIへの投資です。SBGがSVF2等を通じて実施してきたOpenAI投資に係る評価益は6兆7,304億円に達しました。当期末時点での累計投資額は346億ドルですが、2026年2月に締結した新たな追加出資契約等により、累計額は646億ドル(持分比率約13%)となる見込みです。

 事業戦略においても大きな転換点を迎えました。当期より「AIコンピューティング事業」セグメントを新設し、半導体設計大手アーム、CPU設計のアンペア、そしてグラフコアを統合しました。生成AIの普及によりデータセンター向けの高性能・省電力な計算資源(コンピューティング)需要が急増しており、この物理インフラ領域で「ASI(人工超知能)」の実現を目指すとしています。

 一方、既存の通信・ネット資産については資金化を機動的に進めています。Tモバイル株式の一部売却により約162.5億ドルを確保したほか、アリババ株式を利用した全ての先渡売買契約の現物決済も完了しました。ただし、保有継続しているTモバイル株やアリババ株については株価変動に伴う投資損失を計上しています。

 財務面では、円安進行に伴い米ドル建負債が資産を上回っていたことから2,710億円の為替差損を計上したほか、OpenAI投資やアンペア買収に向けたブリッジローン等の利息により財務費用は7,717億円へ増加しました。キャッシュ・フローは、OpenAIへの5兆円規模の投資を含む投資活動によるキャッシュ・フローが4兆5,071億円の支出(純額)となる一方、社債発行やローン増額等の財務活動によるキャッシュ・フローで6兆3,773億円の収入を確保しています。

 このほか、傘下の決済大手PayPay(ペイペイ)が2026年3月に米ナスダック市場へ上場を果たしました。SBGは連結子会社としての地位を維持したまま上場させることで、PayPayの成長加速と資本市場の活用を両立させる方針です。

 世界のAI競争の軸足は、今やソフトウェアモデルの開発から、それを支える半導体・電力・データセンターという莫大な資本を必要とするインフラ競争へと移行しています。SBGはこの潮流をいち早く捉え、手元流動性5.3兆円を背景に、世界のAI基盤分野で主導権獲得を狙う戦略を加速させています。一方で、金利上昇局面における負債負担やAI市場の過熱感など、リスク管理の重要性も一段と増しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)