今回のニュースのポイント
衆院は17日の本会議で、特別国会の会期を25日まで8日間延長することを議決しました。政府・与党が最優先としていた改正皇室典範が成立した一方、日本維新の会が重視する「副首都」創設法案(副首都法案)の成立を期すための会期延長となります。延長国会では、同法案の成否を巡る与野党の攻防がヤマ場を迎える見通しです。
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特別国会の会期延長が議決され、国会最終盤の政局は副首都法案の成立を巡る攻防へと突入しました。今回の延長国会では、自民党と法案を共同提出した日本維新の会が成立を重視しています。政府・与党はチームみらいなどの賛同を得て24日までの法案成立を目指していますが、参議院では与党会派にみらいの議員2人を加えても過半数に2議席届かないという厳しい数合わせに直面しています。与党は無所属議員への個別の働き掛けによる過半数確保を模索する一方、参院で否決された場合には、衆院で3分の2以上の賛成による再可決も視野に入れています。これに対し、立憲民主党を中心とする野党6党は「大阪を念頭に置いた副首都法案のための延長である」と一斉に反発し、参院での法案成立阻止に向けて足並みを揃えており、国会は緊迫した情勢を迎えています。
国会審議の焦点となっている副首都法案の正式名称は「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案」です。その理念と目指す中身は大きく2つの柱に整理されます。第1の柱は、首都直下地震など国民生活や経済に甚大な影響を及ぼす大規模災害が発生した際にも、我が国の政治、行政、司法、経済といった「国家社会機能」を継続させるための危機管理体制を構築することです。第2の柱は、人口や経済機能の東京圏への過度な一極集中を是正し、国土全体に適正に配置することで「多極分散型経済圏」の形成を図る点にあります。法案では副首都について、東京圏で首都中枢機能を維持することが困難となった場合に、必要に応じて一定期間、その全部または大部分を代替する機能を担うとともに、地方経済圏の中核となる機能も合わせ持つ「道府県」として定義しています。
ここで注目すべきなのは、法案が成立したからといって特定の地域が自動的に副首都に指定されるわけではないという点です。法案が定める手続きでは、内閣総理大臣が法律と政令で定める一定の要件を満たす道府県を個別に指定する仕組みとなっています。指定の要件としては、東京圏との同時被災の可能性が低い地理的条件を満たしていること、国の行政機構が立地できる条件を備えていること、人口や経済の集積が十分にあること、そして副首都としての機能を十分に発揮できるだけの地方行政体制が整っていることなどが挙げられます。さらに、国が主導して一方的に指定するのではなく、対象となる道府県からの「申出」が必要であり、その申出を行うにあたっては、事前に当該道府県議会の議決を経なければならないと規定されています。そのため、法案成立と同時に大阪が自動的に副首都に指定されるという解釈は正確ではありません。
今回の副首都法案を巡り、多くの有権者やメディアが注目しているのが、過去に政治的争点となった「大阪都構想」との関係性です。制度としての両者の位置付けは明確に異なります。かつての大阪都構想は、大阪市という自治体を廃止して4つの「特別区」へと再編する地方自治上の行政制度改革でした。これに対し、今回の副首都法案は、国の中枢機能の代替や経済拠点の形成、国土強靱化などを目的とする国の制度・施策です。しかし、今回の法案の附則には、大都市地域における特別区の設置に関する法律を一部改正する規定が明確に盛り込まれています。そこには、特別区を包括する道府県であって副首都の指定を受けたものについて、道府県の議会の議決と国会の承認を経ることで、その名称を「都」に変更できるという特例(特別区包括副首都の名称変更の特例)が含まれています。つまり、両者は別の制度から出発しているものの、現行案においては両制度に接点があるとの指摘もあります。
この名称変更の特例が含まれていることから、過去の住民投票の経緯との政治的な整合性が大きな論点となっています。大阪における特別区設置案(いわゆる大阪都構想)は、2015年と2020年の2度にわたり、大阪市民を対象とした住民投票によっていずれも否決された歴史的経緯があります。今回の副首都法案が成立しただけで、ただちに大阪市が廃止されたり、特別区が設置されたりするわけではなく、特別区を設けるためには別途既存の法的手続きを踏む必要があります。しかし、今回の法案には将来的に名称変更を可能とする特例が内包されているため、過去の住民投票で特別区設置案が2度否決された結果との関係をどのように整理するのかについては、今後の議論の対象となります。
現在、法案への賛成派と慎重・反対派の間では、多角的な視点から論点が交わされています。法案を支持・賛成する立場からは、首都直下地震などの激甚災害に対するバックアップ体制の構築は一刻を争う国家的な課題であるという意見が上がります。東京への一極集中による脆弱性を克服し、有事の政治・行政の継続性を確保すると同時に、副首都の整備を通じて地方経済圏を育成し、我が国全体の持続的な経済成長を牽引できるというメリットが強調されます。一方で、慎重または反対の立場からは、制度の要件設定や特例規定の存在から「実質的に大阪を念頭に置いた制度ではないか」という懸念が示されています。また、国の機関移転やインフラ整備に伴う巨額の財政負担の算出が不透明である点や、指定要件の詳細な基準が国会の関与が薄い政令へと委ねられている点、国会延長を含む短期間の審議で十分な国民的合意が得られるのかという点に加え、過去の住民投票で示された意思との関係についても論点として指摘されています。
今回の副首都法案は、大規模災害への備えや東京一極集中の是正を目的とする一方、特別区を包括する副首都について、道府県名を「都」に変更できる特例も盛り込んでいます。大阪都構想とは制度上異なり、法案成立だけで大阪市の廃止や特別区の設置が決まるものではありません。ただ、両制度には名称変更特例を通じた制度上の接点があります。国会最終盤に向け、法案の制度設計や財政負担、過去の住民投票との関係について、どのような審議が行われるのかが注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













