介護は「三世代」から「単独世帯」へ 変わる支え合いのかたち

2026年07月16日 07:29

画・2020年「介護事業者」の倒産、過去最多。地域介護サービス守るための開業が急増。支援が急務。

在宅介護を支える福祉車両。単独世帯の増加や高齢化が進むなか、地域の介護サービスや社会的な支援体制の重要性が高まっている。(写真:イメージ)

今回のニュースのポイント

厚生労働省が公表した最新の「国民生活基礎調査」によると、在宅で介護・支援を受ける「要介護者等」のいる世帯構造において、「単独世帯(一人暮らし)」の割合が33.2%へ上昇したことが明らかになりました。一方で、かつて介護の主要な担い手とみられていた「三世代世帯」の割合は9.0%へと低下しています。多人数同居を前提とした構造から、単独世帯や核家族世帯が中心となる構造へ移行している現状は、今後の介護政策や地域支援のあり方に大きな影響を与えるとみられます。

本文
 在宅介護を必要とする家庭のあり方に、構造的な変化が確認されました。

 厚生労働省が実施した2025年国民生活基礎調査(介護の状況)によると、要支援または要介護と認定された在宅の「要介護者等」がいる世帯のうち、もっとも多いのは「核家族世帯」の40.2%でした。これに次いで多いのが「単独世帯」の33.2%となっています。時系列の推移をたどると、2001年調査で15.7%にとどまっていた単独世帯の割合は、この4半世紀で上昇傾向にあります。一人暮らしをしながら在宅で介護・支援を受ける人が、介護世帯の約3分の1を占める状況となっているため、同居家族のいない要介護者等を、別居家族や介護サービスがどう支えるかという課題が一段と重要になっています。

 単独世帯の割合が上昇する一方で、かつて在宅介護の基盤とみなされていた多人数同居の割合は低下が続いています。同調査において「三世代世帯」の割合は9.0%となり、表に示された2001年以降で初めて1割を下回りました。2001年時点では32.5%と介護世帯全体の3割近くを占めていた三世代同居ですが、核家族化や未婚化、単身化の波を受けて、その存在感は縮小しています。家族の人数が多く、お互いに役割を分担しながらケアに当たることができた家族内介護のモデルは、現在の日本では徐々に少数派になっているのが実態です。

 介護を必要とする当事者側のさらなる高齢化も、支え合いの構造に大きな影響を与えています。「要介護者等」の年齢階級別構成割合の推移をみると、年齢の高い階級が占める割合が着実に上昇しています。直近のデータでは、「80〜84歳」が21.7%、「85〜89歳」が25.2%、そして「90歳以上」が28.1%を占めています。男女別に年齢構成を詳しくみると、男性では「85〜89歳」が22.4%、女性にいたっては「90歳以上」が31.5%とそれぞれ最多のボリュームゾーンとなっています。超高齢層の増加は、老々介護や介護者の健康リスクを高める一因ともなり得ます。

 また、日常生活において介護が必要となった主な原因に目を向けると、要介護度によって異なる傾向が示されています。初期の段階にあたる「要支援者」では、「高齢による衰弱」が17.7%でもっとも多く、次いで「関節疾患」が14.8%となっています。これが、より本格的なケアを要する「要介護者」に移行すると、原因の第1位は「認知症」の23.6%となり、第2位の「骨折・転倒」(14.8%)を引き離しています。特に認知症や骨折・転倒が介護負担を左右する状況は、突発的な生活環境の変化や、一段と手厚い見守りを必要とする状態を招きやすいため、家庭の介護負担に深く関係していると考えられます。

 このように、単独世帯の増加や要介護者の超高齢化、認知症や骨折・転倒が介護負担を左右する状況といった実態を踏まえると、これからの在宅生活を維持する上では、個々の同居家族の力だけに頼る介護から、地域全体で支える仕組みへの接続が不可欠となります。要介護度が高くなった場合、同居している介護者の負担は「ほとんど終日」が大きな割合を占める傾向にあります。単身世帯や高齢者夫婦の世帯が孤立することなく、住み慣れた地域で適切なケアを受け続けるためには、地域包括ケアシステムなどの社会インフラを活用し、介護サービスや地域支援へ早期につなげていく視点の重要性が高まっています。

 最新の国民生活基礎調査は、単独世帯の要介護世帯が3割を超え、三世代同居が1割未満に減少したという家族構造の変化を明確に示しました。こうしたデータの推移は、介護政策の軸足をこれまでの家族を前提とした個別支援から、単身高齢者でも安心して暮らせる社会インフラの整備へと移行させていくことの重要性を物語っています。誰しもが一人暮らしのまま介護や支援を必要とする可能性を迎えるなかで、地域社会や制度が提供するサポート体制をいかに強固なものへ再構築していくかが、今後の社会保障や市場の方向性を考える上での重要な視点となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)