現在、電子書籍の市場にはさまざまな文書フォーマットやビューワ、端末が存在し、それらの仕様によって利用方法も異なることから、電子書籍を整理・収納する本棚は電子書店別に提供されている。そのため、異なる電子書店から電子書籍を購入した場合、それぞれの電子書店の独自ルールに従って複数の本棚を使用する必要があり、「しおり」や「アンダーライン」などの機能も共通化していない。
そんな中、大日本印刷と、インプレスグループで法人向け情報コミュニケーション技術関連メディア事業を手がけるインプレスR&Dは7日、読者が文書フォーマットやビューワの異なる複数の電子書籍販売サイトで購入した電子書籍を一元管理する本棚を作ることができる「オープン本棚(仮称)」を共同で開発したことを発表した。オープンな電子書籍流通の環境整備を目指し、無償で提供する予定だ。
「オープン本棚」を使用すると、複数の書店で購入した電子書籍をひとつの本棚で一元管理でき、しおりやアンダーラインなど、読者が指定した情報も統一して扱うことがでる。さらに、本の背表紙を採用した実際の本棚のようなイメージによって直感的な操作を可能にし、ジャンルや著者名での並び替えをはじめ、仕切り板の追加・削除や、背表紙をドラッグすることで好きな場所に移動することなどができる。
今回開発された「オープン本棚」は、アンドロイドOS用の試作版であり、今後はiOSやWindowsなどにも対応し、タブレット、パソコンやスマートフォンなど、様々な端末でも利用できるよう開発を進める。さらに、同ソフトを理想的な形で実現するためには各電子書籍ビューワ提供元や各電子書店の協力が必要であるため、仕様を広く公開し、無償で提供することで、国内外の電子出版関係者に連携を呼びかけていく。尚、「オープン本棚」は、7月7日から9日の期間に東京ビックサイトで開催されている「東京国際ブックフェア・第15回〔国際〕電子出版EXPO」の大日本印刷ブースにて展示されている。