不登校の子ども、学校健診の平均受診率は中学生45.3% 総務省調査で健康管理の課題浮き彫り

2026年10月22日 18:06

教室

学校の教室の様子。総務省の調査では、調査対象校における2025年度の不登校児童生徒の学校健診受診率は、7科目平均で小学生55.8%、中学生45.3%だった。学校外でも健康診断を受けられる機会の確保が課題となっている。(資料画像)

今回のニュースのポイント

総務省行政評価局が2026年10月に公表した調査報告書によると、調査対象校における2025年度の不登校児童生徒の学校健診受診率は、7科目平均で小学生55.8%、中学生45.3%にとどまることが分かりました。特に中学生の歯科健診は27.1%と低い水準です。また、アンケート調査では不登校期間中に一度も学校健診を受けなかったとの回答が43.1%に上り、疾病や身体異常の早期発見機会を逃すリスクや、学校外での受診機会確保および行政・医療機関の連携の必要性が示されています。

本文
 総務省行政評価局は2026年10月、「不登校等のこどもの健康診断に関する調査 結果報告書」を公表しました。調査対象となった公立小中学校における2025年度のデータによると、不登校の児童生徒が受ける学校健診(内科、耳鼻咽喉科、眼科、歯科、尿検査、心電図、身体等計測の7科目)の平均受診率は小学生が55.8%、中学生が45.3%にとどまりました。

 科目別に見ると、尿検査(小学生85.6%、中学生60.7%)や身体等計測(小学生77.6%、中学生65.9%)に比べ、医師の診察を伴う科目の受診率が低く、特に歯科健診は小学生33.9%、中学生27.1%と著しい伸び悩みを見せています。学校に登校することが難しい子どもにとって、定められた日時に校内で一斉に実施される従来の健康診断を受けることが容易ではない実態が浮き彫りになりました。

 一方、調査対象校で7科目のいずれも受診しなかった割合は、小学生5.7%、中学生19.9%でした。これは7科目の平均受診率とは異なる指標であり、全科目を受診した子どもの割合を示すものではありません。

 また、保護者や高校生らを対象に実施されたアンケート調査(有効回答2,889件)では、不登校期間中に学校健診を受ける機会が1回以上あった2,242件のうち、966件(43.1%)が一度も学校健診を受けていなかったと回答しました。すべての機会に受診できた回答は571件(25.5%)にとどまり、少なくとも1回の未受診があった1,671件のうち565件(33.8%)は3回以上連続して学校健診を受けていませんでした。長期間にわたって健診機会から遠ざかっている子どもの存在がうかがえます。

 学校健診を受けられなかった理由(1回以上未受診があった1,671件)について見ると、「別日程などの配慮があっても学校に行くことが難しかった」が563件(33.7%)で最多となり、「別日程などの配慮がなかったので受診できなかった」が474件(28.4%)、「学校から事前連絡がなかった、または当日まで気付かなかった」が355件(21.2%)と続きました。回答からは、学校を訪れることの難しさに加え、受診日時の調整や案内の伝達など、複数の課題がうかがえます。

 学校保健安全法に基づき毎年度実施される学校健診は、心臓病、腎臓病、脊柱側わん症、視力低下や虫歯など、初期段階では自覚症状が出にくい疾病や異常をスクリーニングし、早期発見・早期治療につなげる重要な役割を担っています。報告書では、学校健診を機に疾病が発見された事例を紹介する一方で、未受診のために発見が遅れ、状態が悪化した事例も示されています。

 不登校の子どもへの支援はこれまで、教育支援センターの機能強化やフリースクール等での多様な学びの場の確保を中心に進められてきました。しかし、今回の総務省の報告書は、学びの保障にとどまらず「子どもや家庭の健康管理」の観点からの支援も不可欠な課題であると提起しています。

 報告書は不登校の状況に応じた柔軟な対応を求めています。短時間なら登校できる子どもには校内での別日程設定や個別の時間配慮が有効ですが、校内への立ち入り自体に強い拒否感がある場合は、学校外の医療機関、教育支援センター、総合病院、保健センターなどでまとめて健診を受けられる仕組みの構築が望まれます。さらに、ひきこもり状態や家庭環境が複雑で外出が困難なケースに対しては、福祉部局や保健師等による訪問などのアウトリーチ支援を含めた、教育・保健・福祉の包括的な連携体制の整えが求められています。子どもが学校に通えているか否かにかかわらず、等しく健康を守る機会を確保することが重要視されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)