富士フイルム、米国の半導体材料拠点に1,800万ドル投資 CMPスラリー増産へ

2026年10月15日 08:00

EN0202_052

展示会場に掲げられた富士フイルムのロゴ。同社は米アリゾナ州メサの半導体材料製造拠点に約1,800万米ドル(約30億円)を投じ、銅配線用CMPスラリーの生産設備を増強します(画像は資料写真)

今回のニュースのポイント

富士フイルム株式会社は2026年10月14日、米国アリゾナ州メサにある半導体材料の製造拠点に対し、約1,800万米ドル(約30億円)の設備投資を行うと発表しました。既存の銅配線用CMPスラリーの生産能力を増強するほか、前工程から先端パッケージングまで幅広い用途に対応する製造設備を整備し、2027年の稼働を目指します。AI関連需要の拡大に伴う先端半導体の高度化に対応し、材料供給体制を強化します。

本文
 富士フイルム株式会社は2026年10月14日、米国アリゾナ州メサに位置する半導体材料の製造拠点において、約1,800万米ドル(約30億円)を投じる設備投資計画を発表しました。AI(人工知能)関連需要の拡大に伴う先端半導体の需要増加や技術進化に対応するため、半導体製造用材料の生産能力および多様な工程への対応力を高めます。

 今回の投資対象となるのは、同社が米国で展開する主要な半導体材料製造拠点の一つであるアリゾナ州メサの事業所です。半導体工場そのものを新設するものではなく、既存拠点における半導体材料の製造設備を拡張・追加するものであり、増強された設備の稼働開始は2027年を予定しています。

 投資計画は大きく二つの柱で構成されています。第一の柱は、既存の銅配線用CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)スラリーの生産設備の増強です。米国内での半導体生産活動の活発化に伴う需要増に応えるため、既存材料の供給能力を拡充します。

 CMPスラリーとは、半導体の製造過程においてウエハー表面を精密に研磨し、回路や配線を形成しやすい平坦な状態に整えるための化学材料です。微細な回路を層状に重ね合わせる現代の半導体製造工程では、表面を高精度に平坦化する技術が不可欠であり、銅配線用スラリーは内部配線形成を支える必須の材料とされています。

 第二の柱は、多様な半導体製造工程に対応する新たな製造設備の整備です。具体的には、前工程や中間工程、さらには複数の半導体チップを高密度に実装・結合する先端パッケージング(ハイブリッドボンディング関連等を含む)など、幅広い用途に向けた材料生産に対応できる体制を整えます。

 メサ拠点には材料の製造設備だけでなく、CMPスラリーに関する研究開発機能も配置されています。今回の投資により、同拠点内で進められる研究開発の成果を迅速に量産工程へ移行できる体制を強化し、顧客企業の技術要求や多様なニーズに対応する狙いがあります。

 投資の背景について同社は、AI技術の急激な普及に伴う高性能なロジック半導体やメモリー半導体の需要拡大、ならびに先端パッケージング技術の高度化を挙げています。半導体の性能向上において材料分野の重要性が一段と高まる中、現地での供給網を確固たるものにする取り組みの一環です。

 なお、今回の発表では、生産能力の具体的な増加率や年間生産量、新規雇用人数、業績への寄与額などは明らかにされていません。

 今回の設備投資は、AI関連需要の拡大や半導体製造技術の高度化を背景に、製造工程を支える材料の供給体制を米国内で強化する取り組みとなります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)