エネルギー白書2026を閣議決定 原油の中東依存93%、備蓄放出と代替調達で供給維持

2026年10月23日 13:48

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首相官邸の外観。政府は2026年10月23日、「エネルギー白書2026」を閣議決定した。白書では原油輸入の中東依存率が2025年に93%だったことを示し、石油備蓄放出や代替調達による供給維持の対応を整理した。(資料画像)

今回のニュースのポイント

政府は10月23日、「令和7年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2026)」を閣議決定しました。白書では2025年の日本の原油輸入における中東依存率が93%に達していた構造を背景に、2026年春以降のホルムズ海峡通航困難に伴うエネルギー危機への対応を検証しています。4月には中東からの原油調達量が前年同月の約3割まで落ち込みましたが、段階的な石油備蓄の放出や調達先の多角化により、5月以降の原油処理量を前年並みに維持した経緯と、今後の供給網強靱化に向けた課題を整理しています。

本文
 政府は2026年10月23日、エネルギー政策基本法に基づく法定白書「令和7年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2026)」を閣議決定しました。2004年の作成開始から23回目となる今回の白書では、東日本大震災からの福島復興の進捗とともに、2026年に発生した中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー供給危機への政策対応と教訓が重点課題として取り上げられています。

 白書の分析によると、日本の2025年における原油輸入量(約1.15億トン)の中東依存率は93%に達しており、中国の42%や韓国の70%と比較しても極めて高い水準にありました。こうした調達構造のもと、2026年2月末以降の中東情勢緊迫化により、日本の主要な輸送ルートであるホルムズ海峡の通航が困難な状況に陥りました。一時期は同海峡を通航する船舶数が約99%急減するなど、エネルギーの「輸送経路」に依存する日本のリスクが改めて顕在化しました。

 この影響により、2026年4月における日本の中東からの原油調達量は前年同月の約3割にまで一時急減しました。しかし政府は、早期の石油備蓄放出と中東地域以外からの代替調達の拡大を組み合わせることで国内供給の遮断を回避しました。その結果、国内製油所における原油処理量は5月以降、前年と同程度の水準を確保したと白書は説明しています。

 緊急対応の主軸となった石油備蓄の放出は、3月16日の民間備蓄15日分の放出開始を皮切りに、段階的に実施されました。3月26日には国家備蓄第1弾として1か月分(約850万キロリットル)と産油国共同備蓄(約6日分)の放出が開始され、さらに5月1日には国家備蓄第2弾として約20日分(約580万キロリットル)が追加放出されました。一連の機動的な放出を経て、2026年7月末時点の国内石油備蓄量は国家103日分、民間98日分などを含め合計約206日分を維持しています。

 また物量の確保に向けては、輸送ルートと調達先の多角化が推し進められました。サウジアラビアのヤンブー港やアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ港といったパイプラインを経由する「ホルムズ非経由ルート」の活用を拡大したほか、米国産原油の輸入増をはじめアジア太平洋、中南米など調達先の分散を図りました。政府の説明によれば、7月には代替調達率が約10割に達し、必要な供給量が確保されました。

 エネルギー価格高騰への対応としては、3月19日から実施された「緊急的激変緩和措置」の効果を提示しています。補助金が適用されない場合、ガソリンの全国平均小売価格は最大221.2円/リットルに達したと推計されていますが、予備費の投入による支給措置によって店頭価格は170円程度に抑制されました。白書は、9月14日時点のガソリン価格(169.9円/リットル)が欧米各国と比較しても抑えられた水準で推移したとし、家計や事業者への打撃緩和に寄与したと評価しています。

 今回の白書は、備蓄放出と代替調達の拡大によって、国内の原油処理量を維持した経緯を整理しています。一方で、根本的な解決には特定の調達先や輸送経路への過度な依存から脱却することが不可欠です。政府は今後、「エネルギー需給構造の強靱化総合パッケージ(パワーGX)」に基づき、原油調達先の多角化指針の策定や化石燃料依存度の低減、脱炭素電源の活用推進などを通じ、中長期的なエネルギー安全保障の再構築を進める方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)