高市首相、積極財政継続を表明 物価高対策は累計約10.9兆円、家計負担なお課題

2026年10月22日 05:18

首相官邸

高市早苗首相。就任1年の記者会見では、「責任ある積極財政」の継続や、物価高対策の強化に向けた方針を説明した。(写真:首相官邸ホームページより)

今回のニュースのポイント

高市首相は2026年10月21日、就任1年の記者会見を開き、責任ある積極財政の継続と物価高対策の強化を表明しました。内閣発足以降に実施・決定してきた物価高対策の規模は約10.9兆円に達し、燃料油や電気・ガス料金への支援などを進めてきたと説明しました。首相は物価上昇率の沈静化や実質賃金の上昇といった成果を強調した一方、飲食料品の値上がりが続き、国民の生活実感にはなお課題が残るとの認識を示しました。

本文
 高市首相は2026年10月21日、内閣総理大臣就任から1年を迎えたことに伴い記者会見を行いました。首相は就任後の経済政策を総括し、「責任ある積極財政」の方向性を維持しながら、成長投資と危機管理投資を推進する考えを強調しました。あわせて、内閣発足以降に取り組んできた物価高対策の規模が約10.9兆円に上ることを説明し、生活実感へ成果を届けるため、物価高への対応をさらに強化する方針を示しました。

 会見で首相は、発足以来の主要な物価高対策として具体的な施策と拠出規模を挙げました。ガソリン・軽油の暫定税率廃止に1.7兆円、中東情勢を受けた燃料油補助に1兆4,085億円、電気・ガス料金支援に1兆431億円、子育て世帯への支援に3,677億円をそれぞれ措置したと説明しました。特に燃料油補助などのエネルギー関連支援について、物価上昇を抑える重要施策として位置付けました。

 さらに、地域ごとの支援を促すため「重点支援地方交付金」として2.1兆円を措置したことを紹介しました。交付金に基づく取り組みについては、今後自治体によって順次執行されるものもあるとしています。また、首相は、1.8兆円規模の税制改正による所得税の負担軽減について、納税者1人当たり3万~6万円を今年の年末調整で届けると説明しました。

 経済指標の動向に関して首相は、物価上昇率が1年前の+2.9%から現在は+1.9%まで縮小したと言及しました。また、物価変動の影響を除いた実質賃金上昇率についても、直近で9か月連続のプラスとなり1.9%に達したと説明しました。そのうえで首相は、日本経済が長年のデフレ的な経済構造から、賃上げや投資を伴う経済の好循環へ移行できるかどうかの分岐点にあるとの認識も示しました。

 一方、首相は、こうした政策の成果を十分に実感できていない人が多いことも重く受け止めていると述べました。特に日常的な支出に直結する「飲食料品」の価格が約3%上昇しており、低価格品への切り替えなどの節約余地が少ない低所得世帯を中心に大きな負担となっているとの認識を示しました。指標の改善傾向と家計が受ける負担感との溝を埋めることが、政権の重要な課題であることを示唆しました。

 今後の財政・経済運営について首相は、「日本成長戦略」と「地域未来戦略」を両輪とし、政府支出を呼び水として民間の国内投資を引き出す方針を説明しました。大規模かつ計画的な財政支出によって成長と賃上げ、税収増を図ると同時に、財政の持続可能性を確保する「責任ある積極財政」を継続すると述べました。なお、昨年度の税収については過去最高となる84.2兆円になったことにも触れました。

 また、今後の対応策として「消費税・支援金法案」を提出したことに言及したほか、すでに決定した給付の中にも国民に行き届いていないものがあると説明し、必要性や緊急性に応じて予備費を活用する考えを示しました。物価高対策の内容や今後の見通しを国民に十分伝えられていなかったことも反省点として挙げています。

 就任2年目を迎える高市政権にとって、これまで決定・措置してきた経済施策を確実に現場へ波及させ、家計が実効的な負担軽減を感じられるかが引き続きの焦点となります。成長投資の推進による経済の底上げと、飲食料品高騰等に対するきめ細やかな生活支援をいかに両立させるかが問われます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)