大震災による各飲料メーカーの支援とは

2011年04月11日 11:00

 未曾有の大震災により、東北地方及び関東地方は壊滅的な被害を受けている。地震発生から約1ケ月が経過しようとしている中、国内外の企業および団体、個人より様々な支援が届けられ、再生に向け急ピッチの復興を目指している。

 現在、被災地の物資供給は回復の兆しを見せてきたものの、被災直後の食料品や飲料水不足は深刻となっていた。そのような中、飲料業界も営業所や関連会社に被害を受けながらも、様々な支援を積極的に行ってきたという。その内容は義援金をはじめ自社ドリンクの提供などが主だが、今回の大震災ではライフラインが途絶えた時、無料で飲料を提供する各メーカーの災害救援自販機の活躍も見受けられたという。これは災害発生等により停電になった際、管理者に貸与している自販機の無料開放用キーで、非常用電源に切り替わり、無償で清涼飲料水を提供可能な自販機だ。もちろん、津波などで完全に流れてしまった自販機の活用は不可能であったが、流出をまぬがれた自販機は稼働し、被災者の助けに多少なりともなっていたという。また、近年各メーカーでは、万一の災害に備え、各地方自治体と災害支援協定を締結していることも多い。今回の被災エリアの中にも各メーカーと協定を結んでいた自治体は、被災直後にも飲料の提供を受けることが出来たようだ。平時からの取り組みが生かされた事例といえるだろう。

 そのような中、ダイドードリンコは義援金5,000万円、自社商品であるミネラルウォーター、缶コーヒーなどを26万960本、各地方自治体との災害支援協定に基づく飲料の無償提供を約5万5,000本支援している。また、各地域に設置していた自社の災害救援自販機が震災時も有効に活用され、被災地でも流出しなかった災害救援自販機に関しては、被災者へ商品を提供していたという。同社は、中心的な被災地である東北地方及び関東地方において、一部の営業所及び自動販売機に破損等の被害が発生しているが、現在、復旧に向けて会社をあげて取組んでいるという。

 またキリンビバレッジは、キリングループとして義援金を3億円、行政を通じて、約115万本(500ミリリットル換算)の飲料・食品を進呈している。また、国内各地には内蔵したバッテリーにより、停電時も48時間は商品が搬出可能となっている「缶PET自動販売機」や、バッテリー不要で、扉を開放でき機内から商品を取り出すことができる「シースルータイプ自動販売機」などの災害救援自販機も設置していたが、今回の震災時における正確な稼働数は現時点では未確認だという。企業としての被害についても、現状では無かったとしている。

 さらに日本コカ・コーラは東日本大地震の被災地に向け、ミネラルウォーターなどのペットボトル入り飲料30万ケース(500ミリリットル換算で720万本相当)を救援物資として届けると発表。そのほか、韓国から大型ペットボトル入り飲料水1万8,000本を無償提供する。 また、災害時に無償提供できる機能搭載の災害救援自販機の稼動も確認されたという。被害状況としては同社のグループ会社であるみちのくコカ・コーラボトリングが地震および津波による影響を受け、岩手県沿岸に位置する久慈・釜石・大船渡・宮古の4営業所と花巻・青森・秋田の3工場で、営業活動や製造活動を一時休止していたが、3月29日までにすべての営業所で活動を再開。また、3月中に復旧した青森・秋田両工場に続き、4月4日には花巻工場も再開し、全工場での生産が可能となったという。

 従来人間は体重の15から20%の水分を失うと、生命の維持に支障をきたすとも言われており、災害時の水分の大切さは甚大だ。今回の震災により、飲料業界の今後の災害時における供給ラインの確保など、課題となったことも多い。まだまだ復興の途中ではあるが、支援とともに、今後の災害時の対策を考慮することも各メーカーの重要案件といえるだろう。