最新のテクノロジーで省エネ化が加速する自動販売機

2011年02月14日 11:00

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今回投入される新型の自動販売機。飲み物の状態を示す部分と液晶タイプの価格表示部は、自販機側の設定に自動的に連動しており、視認性も高い。また、ボタン上部も色で状態を表すことができ、一目で分かる工夫が施されている。

 街で見かける自動販売機の中には省エネ対策としての技術が数多く詰まっているという。では、実際に各飲料メーカーが取り組む自動販売機の省エネ化はどのように進んでいるのだろうか。今回は飲料メーカーを代表してダイドードリンコに自動販売機の省エネ化に対する取組みと将来性について取材してみた。

 まずはハード的な対策はどうだろう。現在、ハード的にはヒートポンプとLED照明の2大テクノロジーが最新の機械には使われている。ヒートポンプ式の自販機とは、商品を冷却する庫内で発生した熱を商品加温する庫内に送り、加温熱として再利用する仕組みを使っているタイプのものだ。これによって、消費電力を抑えることが可能となり、CO2排出量の削減にも繋がっている。一方、LED照明を採用した自販機は、蛍光灯よりもはるかに長い寿命で省エネ効果が高くなっている。また、蛍光灯には廃棄負荷のある水銀など環境負荷物質が含まれるが、LEDを使う事はその削減にも繋がっている。ただし、蛍光管に比べて光量が若干少なく、コスト的にも割高であるという課題も残されているという。さらに、商品を冷却するための冷媒として、オゾン破壊係数がゼロで、地球温暖化係数が極めて低い自然冷媒を使用した、ノンフロン採用の自販機もダイドードリンコでは積極的に設置している。また、日本コカ・コーラやサントリーフーズなど他メーカーも同様の省エネ対策としてノンフロン・ヒートポンプ式の自販機を採用しているようだ。

 では、ソフト的な省エネ対策はどのようになっているだろうか。ダイドードリンコが取り組むのは、「緑の募金」自販機の設置だ。2002年2月から始まった活動は3770台(2010年10月20日現在)の設置台数にまで増えており、収益金の一部は全国の緑化推進委員会を通じて(社)国土緑化推進機構に寄付され、全国の緑化推進活動費用にあてられている。

 さらに、同社ではオペレーションも非常に大事と考えているようだ。実際、オペレーション効率を向上させるために、液晶タイプの表示版を採用した最新型の自動販売機を投入する予定だ。通常、商品詰め替え等で「あたたかい」「つめたい」などの表示や商品価格の表示切替え作業は、自販機側の設定とは別作業として行われるが、最新型では自販機側の設定とユーザー側に見える表示が自動的に連動する。それによって、オペレーション担当者の作業負荷が軽減されるだけでなく、同時にミスを防ぐことになり、顧客満足の向上が期待できる。顧客満足向上のためには、オペレーション作業自体の効率化が非常に重要だと考えた結果の製品化であり、今後はこのタイプの自販機を見かけるケースも増えるはずだ。

 将来の自動販売機について同社担当者に聞いてみると、「さらに、環境に特化していく必要性があり、もし省エネに対して有効的な最新のテクノロジーが開発されれば、自販機業界は積極的に導入していくべき。もちろん当社もその考え方です」と語ってくれた。

 何気なく飲み物を買っている自販機には、最新のテクノロジーを駆使して省エネを実現し、自販機のタイプによっては環境対策にも間接的に参加しているのだ。