今年は、花粉飛散量が昨年の約10倍におよぶ地域もあると予想されており、花粉症患者にとっては日々の生活がつらい年になりそうだ。また、これまで花粉症を発症していなかった人がある日突然発症することも懸念される。事実、1964年の報告以来、患者数は増加の一途をたどっており「鼻アレルギー全国疫学調査2008」によると日本人の29.8%を占めることがわかっている。このように現代人を悩ます重大な疾患のひとつともいえる花粉症は、日常生活に不快感を与えるとともに、治療薬の服用により眠気や口・眼の渇きなどの副作用を引き起こし、生活の質を著しく低下させる。そこで現在注目されているのが、生活習慣や食生活の改善による予防だ。ヨーグルトやシソ、甜茶、ポリフェノールなど現在までに多くの食べ物が効果的といわれ、その研究は日々行われている。
蜂蜜産品の有効性を解明する研究を行っている山田養蜂場でもこの度、花粉荷を含むプロポリス食品の予防的な摂取が花粉症治療薬の使用を低減させることを確認した。同社は、2004年には岡山大学との共同研究で、マウスでの実験においてブラジル産プロポリスの抗アレルギー作用を確認していた。さらに、花粉による花粉症軽減作用が確認されていることから、ミツバチが花粉を蜜で固めて作る花粉荷も花粉症軽減を期待できると考え、今回の試験が行われたという。
今回実施された試験は、軽度のスギ花粉症患者24名を13名と11名のグループに分け、一方には花粉荷エキス(20 mg)やブラジル産プロポリスエキス(20 mg)などを含む錠剤6粒を、もう一方にはこれらを含まない錠剤6粒をスギ花粉飛散開始の約4週間前から飛散時期にかけて計12週間摂取させた。さらに日々の身体の状態や治療薬の使用状況を日誌によるアンケートにて調査し、治療薬の強さと使用頻度を示す花粉症治療薬使用スコアを算出。その結果、花粉荷を含むプロポリス食品を摂取したグループは、これらを含まない食品を摂取したもう一方のグループに比べ、花粉飛散開始後における治療薬使用スコアが低下した。つまり、花粉荷を含むプロポリス食品の予防的摂取により、花粉症治療薬の使用量を低減することができ、花粉症治療薬を使用した場合も、軽度な花粉症治療薬で症状を押さえることができた。これらを利用することで、花粉症治療薬の問題点であった眠気や乾燥感といった副作用を軽減すると考えられる。さらに、治療薬による医療費の削減に繋がるといえるだろう。
年々増加する日本の花粉症患者。企業や大学などで行われている研究が、毎年花粉に悩まされている多くの人々の症状軽減に繋がることが期待される。