警視庁がまとめた統計によると、平成21年の「侵入窃盗」の月別認知件数では12月が最も多く、「空き巣」に限った統計でも、最も多い2月に次いで1月、12月と年末年始が続く。長期休暇を利用した帰省や旅行などで家を空けることが多い年末年始は、犯罪が増加する時期でもある。そんな時期を過ごすにあたって、家の防犯対策について考えてみることも必要だ。
侵入窃盗、特に空き巣への対策として住宅メーカー各社は、様々な防犯対策を施した玄関錠を開発、提案している。大和ハウス <1925>は、窃盗犯などが鍵を開ける際に使う手法の一つである”サムターン回し”への対策として、取り外し可能な「脱着式サムターン」や、スイッチを押しながらでないと回すことができない「スイッチ式サムターン」を採用。ミサワホーム <1722> は、外からは鍵の存在を知ることができない「リモコン補助錠」や、オートロック機能付きの「指紋認識電子補助錠」などを採用している。
住宅最大手の積水ハウス <1928>が行ったアンケートによると、約20%の人が「過去1年間において外出時に玄関ドアの施錠を忘れたことがある」と回答。さらに、「過去1年間で外出後に玄関ドアを施錠したかどうか不安になったことがある」という人は約55%に上った。そういった住まい手の施錠忘れを防ぎ、不安を解消するため、同社は「しめ忘れお知らせキー」を提案している。これは、施錠すると鍵の持ち手部分に設けられた表示窓の色が変化するため、後から鍵を見れば施開錠したかどうかがすぐに分かる、というものだ。
さらに同社は、玄関錠の主流である「1キー2ロック(1つの鍵で主錠と補助錠を施錠するもの)」についてもアンケートを行い、補助錠を「全く施錠しない」「ほとんど施錠しない」「時々しか施錠しない」と答えた人が約3分の1もいるという結果を得た。施錠をしない理由としては「面倒くさい」や「主錠を施錠すれば十分である」といった要因が挙げられ、防犯対策として有用な補助錠が十分に活用されていない、という現状が浮かぶ。そこで同社は、主錠を閉めると補助錠も連動して施錠できるオリジナルの「1アクション2ロック玄関錠」を開発した。これは電気錠を除くメカニカルキーでは業界で初めてのことである。
これまで住宅業界は、防犯性能を強化するため、窃盗犯などが侵入しにくい”強固な”防犯アイテムの開発に取り組んできたが、それを住まい手が活用しなければ意味を持たない。より住まい手の視点に立って考えられた”使いやすい”防犯対策の方法を考案し、提案していくことが今後必要になってくるのではないだろうか。