正念場を迎えたデジタルビデオカメラ市場の行方

2010年12月20日 11:00

 デジタルビデオカメラ市場は今、正念場を迎えている。1984年にソニーが一体型ビデオカメラ「ハンディカム」を発売して以来、家庭用ビデオカメラは小型化、多機能化という進化を遂げ、急速に普及した。記録媒体も8mmビデオテープから始まり、Hi-8、miniDV、HDDやシリコンメモリというようにアナログからデジタルへと変化し、現在では、フルHD搭載が当たり前の時代となっている。

 実際、ここ1~2年の全世界でのデジタルビデオカメラの出荷台数は、伸び悩んでいる。その原因は、リーマンショック以降の世界的な景気低迷という要素がまず考えられるが、デジタルカメラや携帯電話に動画機能が搭載されるようになったことも、もうひとつの大きな要因として挙げられるだろう。このような状況を打開すべく、デジタルビデオカメラを発売するメーカー各社は、画質や操作性など、本来得意とするところを向上させると同時に、これまでにはなかった広角から望遠域までカバーする光学ズームや高感度機能を搭載したり、デザイン性にこだわったりと付加価値を付けて新たなユーザー層の獲得を狙っている。

 ビクター・JVCは、ハイビジョンメモリームービー「Everio(エブリオ)」に多くの快適操作機能を搭載し、気軽にフルハイビジョン撮影が楽しめる新しいコンパクトシリーズとして、「GZ-HM690/HM670」「GZ-HM450」の3モデルを12月中旬より順次発売すると発表した。一方、元祖「動画デジカメ」とも言われている三洋電機のデジタルムービーカメラ「Xacti(ザクティ)」も、1400万画素の写真撮影できる防水対応のフルハイビジョンムービーとして、独自の個性を全面に押し出しながらラインナップの充実を図っている。同シリーズはコンパクトで軽量なことから、女性ユーザー層からの支持が高いという。

 デジタルカメラやスマートフォンなどの動画機能も高性能になってきてはいるものの、動画分野では専門とするデジタルビデオカメラにまだ、操作性や画質といった面で追いつくことはできていない。今後、デジタルビデオカメラ各メーカーがどのような展開で、独自の存在感を見出していくのかに注目したい。