APEC開催を前に、スマートネットワーク実証実験フィールド公開

2010年11月05日 11:00

 NTTドコモ <9437> 、NEC <6701>、積水ハウス <1928>、バンダイナムコゲームス <7832>が幹事を務め、計12社が参加する「スマート・ネットワークプロジェクト」は4日、ホームICT及び電気自動車(EV)を支えるサービス基盤で利用する通信規格の国際標準化を推進するために横浜みなとみらい21地区に構築した実証実験フィールドの開所式を行い、報道関係者に公開した。

 同プロジェクトは、平成21年度の第2次補正予算「ネットワーク統合制御システム標準化等推進事業」の一環として6月に総務省に採択されたもの。来るスマートグリッド社会・電気自動車社会を見据えて、ネットワーク統合制御システムの普及促進を行うために、システムの基盤となる通信規格の策定と検証を目的としている。同プロジェクトは、屋内の通信規格の標準化を目指す「住宅/EVネットワーク」グループと、街中でのEVの活用を支える通信規格の標準化を目指す「EVサポートネットワーク」グループから構成されており、今般完成した実証実験フィールドにおいて平成23年3月まで実証実験を行う予定だ。

 実証実験は、太陽光発電システムやLED照明などの高効率設備機器に加え、屋外・屋内のネットワークサービスを高速・シームレスに実現させるフェムト一体型ホームICTを導入した最新の環境配慮型住宅で実施される。ここでは、太陽光発電システムで発電した余剰電力をEVへ充放電するシステム制御の検証や通信規格の策定を行い、自然エネルギーの有効活用、CO2削減効果を検証する。ホームICTと家電製品をつなぎ、太陽光発電システムによる発電量を家庭の電力使用とEVへ最適に振り分ける制御システムや、住宅に関するメンテナンス情報を一元的に蓄積・管理するシステムを通して、通信による電力の最適制御や住宅の長寿命化を図る実験も行う。また、EVの利用促進のために必要な充電インフラ整備や効率的な車両運行管理のための通信規格の策定・検証も行う。

 開所式には、総務省の平岡秀夫副大臣、横浜市の林市長をはじめ、幹事会社を務めるNTTドコモの山田社長や積水ハウスの阿部社長などが出席した。その中で、平岡秀夫副大臣は「スマートネットワークは、この場からAPECで世界の要人やメディアの方々に発信できるようになりました。政・官・民が連携し、情報通信の標準化を是非とも進めていきたいと考えています」と語った。また、実証実験住宅を建築した積水ハウスの阿部社長は、「スマートハウスやスマートグリッドの社会実現のためには、今回のネットワーク技術の標準化が是非とも必要です」と今回のプロジェクトへの意気込みを語った。

 様々な行政機関や企業グループでスマートハウス、スマートグリッドの発信が始まっている。ともすればITのかたまりのような「冷たい」印象になりがちな中、参画した各社がこだわった暮らしのための未来技術をいかに上手に生かしていけるか、のヒントが示されているようだった。展示説明では、「普及のためには、技術に人間が合わせる発想では難しい」と語られていた。情報コミュニケーションの活用を重視した参画企業の意気に、ぜひ期待したいところだ。
(編集担当:上地智)