3月23日から、全国10種類の交通系ICカードの相互利用が可能になった。
相互利用が可能になったのは、JR系ICカードの「Kitaca」「Suica」「TOICA」「ICOCA」「SUGOCA」、首都圏の私鉄などで利用できる「PASMO」、関西の私鉄などで利用できる「PiTaPa」、そして名古屋市交通局と名古屋鉄道の「manaca」と福岡市交通局の「はやかけん」、西日本鉄道の「nimoca」の10種類。この10種類のカードが相互利用できることで、全国の駅の半分近くなる4275駅とバス2万1450台が一枚のカードで利用できるようになった。これまでは何枚かのカードを併用したり、時には旅行先や出張先で慌てて切符を買いに走ったりしていたような手間も、今後はかなり少なくなりそうだ。
しかも、この相互利用が可能になるのは電車やバスだけではない。PiTaPaを除く9種類のカードでは、電子マネーの相互利用も可能になった。コンビニエンスストアなど全国約20万店舗のほか、自販機などでも利用できるようになる。
たとえば、設置台数11万台以上を誇る日本コカ・コーラの自動販売機では、これまでにも、いち早く電子マネーでの決済システムを導入しており、2002年より携帯電話を活用したキャッシュレス決済を開始したことから始まって、iD、Edyを導入し、セブン・カードサービスが運営する電子マネー「nanaco(ナナコ)」やイオン の電子マネー「WAON(ワオン)」などの大手チェーンの電子マネーとも連携して、電子マネーでのニーズを促してきた。また、2010年から2012年にかけては、各種交通系電子マネーにも対応するようになっていた。今回の交通系ICカードの全国相互利用サービスにも、早速対応を開始しており、需要に応えられるようにしている。
「電子マネー」の利用については「使い勝手が悪い」「かえって不便」という意見も少なくはない。とくに中高年の年配層には、あまり評判は良くないようだ。確かに、電子マネーを活用すれば小銭を持たなくて済むスマートさはあるものの、カードを何種類も持ち歩くようでは本末転倒だ。
しかしながら、昨年、日本銀行決済機構局が発表した「最近の電子マネーの動向について」の調査結果によると、電子マネーの発行部数は増加の一途で、2012年6月の時点で1億8,217万枚となっている。それだけ電子マネーというシステムが一般的に普及しつつあるということは間違いない。そして今回、全国交通系ICカードの相互利用が可能になったことにより、これまで消費者に敬遠される理由の一つだった「不便さ」が大きく改善されることで、今後、電子マネーの利用が大きく伸びるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)