2025年の国内食料支出規模 72兆円前半に

2010年09月29日 11:00

 農林水産省が試算した2025年における食料支出額試算で、家計の食料支出額からみた市場規模は72兆2000億円となり、2005年(73兆6000億円)に比べ、1兆4000億円、率にして1.9%減少することが分かった。

 食料支出規模の減少率は人口減少率(2005年比で6.7%減少)に比べ、減少幅は小さくてすみそう。

 その理由について、農林水産省は「家計の支出構成が生鮮品から、より加工度の高い調理食品などへシフトすることが見込まれるため」としている。同省試算によると、生鮮品の支出割合は2005年では26.8%あったが、2025年には21.3%になると予測。逆に、調理食品の支出割合は2005年より4.6ポイント増加し、16.6%になるとしている。調理食品需要の要因には高齢者世帯と単身世帯の増加が背景として大きい。

 同省では、今後の課題として、(1)食料自給率の向上、国内の農業・食料関連産業の市場規模の維持・拡大に向け、生産・流通サイドが食料消費ニーズの変化等に対応していくほか、潜在的な需要や新たな需要を掘り起こしていく必要がある。

 (2)介護食を含め高齢者が飲食しやすく健康に配慮した新商品・メニューの開発、特に高齢単身世帯への食料の円滑な提供に向けた宅配サービスの充実などに取組む必要がある。

 (3)米の潜在的需要を掘り起こすため約1700万人に及ぶ朝食欠食の改善に向けた取組みや、訪日外国人の誘致促進を進めるなかで日本の食文化の発信や飲食店、宿泊施設、土産物店等での各地域の農産物等を活用した商品・サービスの提供等の取組みを推進する必要がある、などと指摘している。
(編集担当:福角忠夫)