外食事業者の食材選び 品質が価格上回る

2010年09月17日 11:00

 農林水産省の外食事業者を対象としたアンケート調査の結果が16日、公表された。調査の結果、外食事業者は国産食材の利用拡大のために国の支援として「地域の食材についての情報提供」や「生産者との商談をするマッチングの場」を求めていることが分かった。また、食材を仕入れる際の重点事項(2つまでの複数回答)では品質が価格を上回った。

 この調査(外食事業者の国産農産物の利用等に関するアンケート調査)は「外食産業と国内農林水産業の連携や国産農産物の需要拡大のための施策の参考にするため、外食事業者の意識や意向を把握しよう」と今年2月から3月にかけて資本金3000万円以上の一般飲食業者1690事業者を対象にアンケートしたもの。568業者から回答があった。

 その結果、食材を仕入れる際の重点事項では、品質をあげた事業者が83.3%、価格をあげた事業者が70.6%と品質が価格を上回った。また、安定供給が3位で21.8%、4位は国産品(8.6%)、5位はブランド(生産地、6.9%)だった。

 国産食材の使用についての意向では、41.5%はかなり使用しているので現状を維持したいとしたが、33.3%はかなり現在も使用しているが更に増やしたいと回答。12.3%があまり使用していないので増やしたいと、今後、増やしたいとの意向が45.6%にのぼっていた。

 次いで、国産食材を増やすための条件では、価格がもう少し安くなればというものが85.7%を占め、外国産に比べてコスト高になることから、価格に対する期待が最も大きかった。次いで、必要量の安定的確保(60.6%)、信頼できる優良な生産者と出会う機会(36.3%)をあげる事業者が続いた。

 また、生産者などと取引契約を結ぼうと思ったことがあるかどうかでは、52.8%があると回答していた。

 このほか、農業参入する意向の有無については、84.9%がないと回答。11.3%はあると回答。既に参入している事業者は2.1%だった。

 参入の意向がない理由として、最も多かったのは生産技術がないから(53.7%)で、経費が係る(49.6%)、人材確保ができない(47.5%)が主なものだった。一方で、参入の仕方が分からないからという回答が20.7%、適当な農地が見つからないからが6.4%、市町村や農業委員会、農協などの協力が見込めないからが3.1%など、情報提供や行政などの支援が充実すれば外食事業者を農業参入に誘引できる可能性が高まることもみえた。
(編集担当:福角忠夫)