個人消費低迷を背景として、2010年上期の飲料業界各社の販売実績は前期比2%減で推移していたが、記録的な猛暑効果により、7月以降の月次では前年比2桁の伸びを示すなど、にわかな上昇を示している。
気象庁によると、この2010年の夏(6月~8月)の気温は統計を開始した1898年以降で第1位の高温を記録。また、9月以降も各地で猛暑日が記録されるなど、まだまだ真夏の暑さが続いているが、飲料業界はすでに秋の缶コーヒー商戦に向けたプロジェクトが動き出している。
昨今の缶コーヒー市場は、「ジョージア」「BOSS」「WONDA」「ダイドー」「FIRE」の上位5ブランドで市場全体の8割以上のシェアを占める寡占化市場。ここに「ルーツ」「タリーズ」なども加わり混戦模様となっている。
業界各社が缶コーヒーの拡販にこだわる理由は、清涼飲料市場の約4分の1を占める巨大マーケットであること。しかも、お茶や炭酸飲料などに比べて収益性が高く、自動販売機やコンビニでの販売が多いことから希望小売価格の値崩れも少ないことがあげられる。それに加え嗜好飲料である缶コーヒーは1日に何本も飲むヘビーユーザーに支えられており、商品のライフサイクルも他のカテゴリーの飲料よりも相対的に長く、安定的な販売が見込めることも大きい。
そのなかでダイドードリンコ<2590>は、発売35周年を迎えた看板商品である「ダイドーブレンドコーヒー」のパッケージデザインをリニューアル。テレビCMには俳優の伊藤英明を起用し、同社の原点であるロングセラー缶を前面に押し出すことで、同商品のロイヤルユーザーの満足度向上を図るとともに、嗜好が多様化する現代においても、変わらぬ美味しさを提供し続け、また多くのユーザーに愛飲されている唯一無二感で勝負する。
さらに新製品である「ダイドーブレンドスペシャル〔微糖〕」も、「ダイドーブレンドコーヒー」で培ったブランド資産を活かした、糖類50%減の微糖缶コーヒーをラインナップ。伝統感・王道感を継承しながら現在、缶コーヒーマーケットの中で拡大を続ける「微糖」カテゴリーに参戦する。
猛暑で活況を取り戻しつつある飲料業界が秋に仕掛ける缶コーヒー商戦。大規模な販売促進や広告宣伝が繰り広げられることが