スマホの高機能・多機能化に貢献する世界最小ダイオード開発

2012年11月05日 11:00

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ロームが、従来の0603サイズ(0.6mm×0.3mm)に比べて55%のサイズダウンに成功した、世界最小のツェナーダイオード0402サイズ(0.4mm×0.2mm)を開発した。(画像は5mmのシャーペンの芯と同製品との比較)

 スマートフォンやタブレット端末といったモバイル機器において、徐々に進歩しながらも依然としてニーズの高い電子部品の小型化。小型化には高い技術が要求されるため、一朝一夕になし得るものではないが、得意としている日本の半導体メーカーも少なくない。

 京都の半導体メーカーであるロームは、2011年10月に電子部品として世界最小となる「03015サイズ」チップ抵抗器を開発するなど、微細化・低消費電力化を得意とする企業のひとつである。そのロームが、従来の0603サイズ(0.6mm×0.3mm)に比べて55%のサイズダウンに成功した、世界最小のツェナーダイオード0402サイズ(0.4mm×0.2mm)を開発したと発表。本製品は10月2日~6日に千葉・幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN2012」のロームでも展示されていたものである。

 抵抗器やコンデンサなどの受動部品においては、既に0402サイズの製品が開発され、搭載が進んでいた。一方、ダイオードやトランジスタなどの半導体製品は、受動部品に比べ構造が複雑なため、0603サイズが最小となっていたという。今回は、ローム独自の微細化技術による製造システムを、ダイオードの製造技術に応用。結果、従来製品(0603サイズ)の電気的特性を維持した上での超小型化、超薄型化を実現し、さらに、電極表面に金を採用したことで、半田塗れ性や信頼性の向上も実現しているとのこと。まずは0402サイズ第一弾として、ツェナーダイオードを来春から量産する予定をしており、今後、ショットキーバリアダイオード等、その他のダイオード製品も取り揃え、ラインアップを拡充していくという。

 スマートフォンやタブレット端末の秋冬モデルにおいて、その多くに搭載されたLTE。4Gとも言われるこの通信規格は、高速データ通信が可能で動画視聴に最適である。しかし、こうした機器の高機能化・多機能化は、消費電力の増加を招く状況にあり、大容量のバッテリーを搭載することで解決が図られることも少なくない。そのため、各部品の小型化へのニーズは高まる一方であり、このニーズに真正面から応える高い技術は、日本が世界に誇れるものであろう。しかし、世界的に拡大している市場を支えるものであるにも拘らず、各企業ともあまりの業績には反映されていないようである。今後は、技術の向上を業績伸長へと直結させる施策が必要なのではないだろうか。