かねてから噂に上っていたTwitterの音楽アプリが、いよいよ開始か。4月11日、オーストラリアに拠点を置く音楽配信企業「We Are Hunted」をTwitterが買収したと、両社が発表した。この買収により、「We Are Hunted」の現行サービスは終了し、Twitterのサービスとして音楽機能を提供していく見通しだ。
2007年に創業したWe Are Huntedは、わずか3人で運営される小規模な音楽配信企業。旧来のサービスでは、SNSやブログ、P2Pサービスなどのデータに基づいた独自のリアルタイムヒットチャートをユーザーに提供してきた。ユーザーは、このヒットチャートの楽曲をオンデマンドで聴くだけでなく、SNSサイトを通して共有して楽しめる。また、音楽検索機能やプレイリストも作成できる。今回の買収にあたって、We Are Hunted側が発表している声明の中でも「Twitterとの相性が良いことに疑問はもっていない」と言っているように、確かにTwitterなどのSNSとは非常に連携しやすいアプリであることは間違いない。
Twitterからもまだ、音楽サービスがどのようなものになるのかの具体的な発表はされていないが、従来のWe Are Huntedの使い方や楽しみ方を踏襲しながらも、よりSNSの特性を活かしたものになるのはもちろん、ソニーとユニバーサル・ミュージックが所有するミュージック・ビデオサービス「Vevo」が提供するビデオクリップなども視聴可能になるとみられている。
昨年末から、Twitterが今年度内にも株式上場に踏み切るのではないかとの観測が急速に高まっている。今年1月、TwitterはアップルのiPhone向けの動画投稿サービス「ヴァイン」の提供を始め、モバイル戦略を強化しているが、この「ヴァイン」も、もともとは「We Are Hunted」と同じく小規模のベンチャー企業だったものを、昨年10月にTwitterが買収しているのだ。「ヴァイン」に投稿できる動画は6秒間以内と短いものの、撮影して間を置かずに投稿できる写真のような利便性が受け、世界中で愛好者が急増している。また、2月5日には、ソーシャルメディアの大手モニター会社「ブルーフィン・ラブズ」の買収を発表しており、今後、他のメディアとの積極的な連携強化を目論んでいるとみられている。
これらの一連の動きから、多くのアナリストが株式の上場時期を今年後半から14年初頭と予想しているものの、Twitter側は株式公開について、あくまで慎重なスタンスを貫いている。Twitterが上場すれば話題性も大きく、景気浮揚に大きく貢献するとみられており、待望する声も多いが、鳴り物入りで上場して苦境に立たされたフェイスブックの二の舞になるのではという声もある。いずれにせよ、今年の後半はTwitterの動向に注目が集まりそうだ。(編集担当:重村聡)