ガラパゴス化する日本の音楽業界は、世界のトレンドについていけるのか

2013年04月17日 17:29

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Appleは、「iRadio」と呼ばれている新たな音楽ストリーミングサービスの開始に向けて、動きを活発にしているという。

 今、音楽業界は、「CD売上のマイナス成長」「ダウンロード売上の安定成長」「ストリーミング売上の急成長」という3つの流れが、世界共通のトレンドとなっているようだ。

 世界一のCD大国で、CD売上への依存度が高い日本の音楽業界が年々売り上げ減少に喘ぐ中、Pandoraをはじめ、Spotifyなどが提供するオンデマンド型の音楽ストリーミングサービスは、無料プラン、有料プランともに急速に普及し、着実な成長を遂げている。

 米Googleも、2013年夏の提供開始を目指して、デスクトップとモバイル端末上で動作し、YouTubeの一部を利用した独自の音楽ストリーミングサービスの開発を進めているほか、Google Play向けの別サービスにも取り組んでいるようだ。

 これに伴い、Appleも動きも活発になってきた。Appleは来週中にも、Warner MusicとUniversal Music Groupの2社との間で契約を締結する可能性があるとみられており、さらに、Sony Music Groupや音楽出版社に対しても積極的に働きかけているという。

 Appleが「新たなストリーミングサービス」と呼び、報道では「iRadio」という名称で度々話題にされるこのサービスは、レーベル側にとっても、Pandora等から現在得ているものよりはるかに魅力的な内容になる可能性が高いといわれている。詳細は不明だが、Appleがストリーム単位でレーベル側に支払う料金自体は、Pandoraが支払っている料金の半額しかないそうだが、Appleが計画している新たなサービスプランによって、それを補って余りある利益をレーベル側にもたらす可能性が示唆されており、さらには新たなオーディオ広告のレベニューシェアも含んで提案されているという。

 6月初旬には、Apple恒例の年次開発者会議が行なわれる。「iCloud」と「iTunes Match」の発表も行なわれたこの場で、同社はこのサービスを米国のほか、英国やフランス、ドイツ、オーストラリア、日本など最大十数カ国に向けて発表したい考えを持っていると思われ、夏の投入に向けて急ピッチで交渉が進められているとみられる。

 激化するストリーミング配信市場で、AppleとGoogle、そして古株のPandoraやSpotifyがどのような戦いを繰り広げるのか注目が集まるところだが、依然としてCD頼りの日本の音楽業界もこの世界的な潮流に乗らなければ、音楽市場においてもガラパゴス化が進んでいくことになりそうだ。(編集担当:藤原伊織)