再生エネルギー固定価格買取制度により、各企業の売電事業が加速

2013年04月22日 08:28

 経済産業省により2012年7月より開始された「再生エネルギー固定価格買取制度」。これは太陽光をはじめとする再生可能エネルギーにより発電された電気を、一定価格で電気事業者が買い取ることを義務付けたもので、この制度の開始により、今年に入ってさらに多業種の企業が積極的に太陽光発電による売電事業を開始している。

 例えば、ブリヂストン<5108>の子会社で、タイヤ製造設備の設計、製造、販売などを手掛けるブリヂストンプラントエンジニアリングは、彦根工場と佐賀工場の屋上に太陽光発電パネルを設置。約970世帯分の年間電力使用量に相当する約3,500MWh/年の発電能力を持つシステムを導入すると発表した。総投資額は約10億円で、今年中に発電を開始する予定となっている。同社グループは、企業が継続的に成長していくためには本業の中で環境に取り組むことが大切と考えており、同事業においても同社のエチレン・ビニル・アセテート フィルムを100%利用した太陽光発電パネルを使用、「事業と環境の両立」を目指した活動を実施しているようだ。

 また、物流不動産の所有・運営・開発のプロロジスは、かねてより発表していた全国で所有・運営する物流施設の屋根を活用した太陽光発電設備の運転を4月1日より開始している。同社では「環境への取り組み」「企業の社会的責任」「企業倫理とガバナンス」を3本の柱として企業活動を実施。前述の「環境への取り組み」の一環として、環境負荷を低減した物流施設を積極的に開発すると同時に、再生可能エネルギーの積極的活用を推進。その取り組みの一つとして太陽光発電システムを導入・計画しており、現時点においてグローバル全体でプロロジスが所有・運営する物流施設の屋根への導入実績は、約80MW以上(今回の発電開始分を除く)に達しているという。今回は再生可能エネルギーの固定価格買取制度のスタートに伴い、第一弾として全国8棟の施設に合計約10MWの太陽光発電システムを導入。年間の発電量として1,000万KW時超を見込んでいる。これは現時点において、一事業者が事業所建物の屋根面に設置した稼働中の太陽光発電システムの規模としては国内最大となるようだ。同社は今後もさらなる太陽光発電システムの導入を計画中であり、現時点において23施設に合計約25MWを導入する予定となっている。

 さらに、カゴメ<2811>も子会社のカゴメ不動産を通じ、太陽光発電を利用した売電事業に参入。同事業では本年6月より15.5億円を投じ、全国3カ所(青森県、山梨県、福岡県)において、既に閉鎖している工場や配送センターの跡地等に太陽光パネルを設置。3カ所合計で年間6,875MWhを発電する予定となっている。発電した電力は全て電力会社に売却し、年間で約2.7億円の売電収入を見込んでいる。6,875MWhは、一般家庭の消費電力に換算すると、約2000世帯分に相当するという。

 太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーが今後、原発に変わり電力の源となっていく流れになるだろう。なかでも太陽光発電の取り組みは企業・個人・団体を問わず加速していくことは間違いない。(編集担当:宮園奈美)