台湾に本社を置くパソコンメーカー・エイサーは、画面サイズを小型化した複数タイプの「Windows8」搭載タブレットを今年中にも発売する計画を明らかにした。
5月3日にニューヨークで開催された同社製品発表イベントの後、米CNETのインタビューに対し、同社の全米地区担当プレジデントEmmanuel Fromont氏と同製品マーケティング担当バイスプレジデントSumit Agnihotryが、2013年後半に10インチ未満の小型タッチスクリーンのWindows8搭載タブレットを投入する予定であることを明らかにし、話題を呼んでいる。両幹部はこれらの新製品について、具体的な情報提供は拒んだものの、開発中の製品は、スペックよりも価格重視のものとなるようだ。
「ユーザーは、ハイエンドタブレットに出費する必要性を見いだしていない。画面サイズを小型化することによって、ユーザーがタブレットに出費するのに妥当と思える価格に対応していく」とFromont氏が語っていることから、Acerとしてはハイスペック路線が進むAndroid端末と同じ道を行くのではなく、生産性の高いデバイスを提供しようと考えているようだ。現在、販売されているWindows搭載のタブレットは、400ドル前後が平均的なエントリー価格となっているが、開発中のこれらの製品はその価格を大きく下回ると見られている。
エイサーは、1988に日本法人を設立しているが、その後20年近くは国内メーカーに対抗できずに不遇の時代が続き、欧米市場のような巨大なシェアを獲得できなかった。2008年8月に発売したネットブック「Aspire One」がヒットしたのをきっかけに、PC本体はもとより、液晶ディスプレイなどの周辺機器を家電量販店が取り扱い始めたことで、知名度とシェアが拡大した。
エイサーは4つのブランドで世界的な展開を行っている。自社の名を冠した「acer」だけでなく、「Gateway」「eMachines」「Packard Bell」も同社ブランドだ。アジアと米国ではacer、Gateway、eMachinesの3つのブランドで、業界でも初めてとなるマルチブランド戦略を展開している。
日本では「安いパソコン」的なイメージが根付いてしまっているが、決して「安物」ではない。エイサーの安さの秘密は「ダイレクトSCM」と「世界展開」戦略にある。エイサーは独自に構築した「ダイレクト・サプライチェーン・マネジメント(ダイレクトSCM)」システムによって、世界各国や各地域のエイサー事業所からのオーダーを本社で集積して一括管理し、製品は製造メーカーから直接各地域の流通事業者や代理店へと発送している。そうすることで流通を効率化し、重複や無駄な作業を排して大幅なコストダウンに成功しているのだ。そして、それを可能にしているのが、世界展開。グローバルな世界展開を行うことで、大量の製品を販売してコストを引き下げている。
今や、海外のみならず、日本でも大きなシェアと信頼を獲得しつつあるエイサー。もしも今、Windows8搭載タブレットを検討しているならば、年末の発売まで、しばらく我慢かもしれない。(編集担当:藤原伊織)